IEEE、世界電気通信記念日にちなんで声明発表
世界最大の電気・電子関係の技術者組織であるIEEE(アイ・トリプル・イー、本部:米国ニューヨーク)のワイヤレス専門家は、通信速度に優れた第4世代(4G)無線技術の広域普及が、電話回線によるインターネット接続が十分に普及していない世界の発展途上・農村地域に大きく貢献すると指摘しました。今年の3月、IEEE標準化委員会(IEEE Standards Association)が4G無線規格の進化版であるIEEE 802.16mを認証しました。高速無線通信により、充実した遠隔教育の実現など教育分野が発展し、農家では農業技術や市場情報を簡単に入手することができ、遠隔医療により高品質のヘルスケア環境を享受することが可能になります。
国際電気通信連合が制定し、1969年から毎年5月17日を記念日とする「世界電気通信記念日(World Telecommunication Day)」は、本年度のテーマに「情報・通信技術で発展途上地域により良い生活をもたらす」を掲げています。現在「4G」として市場で認知されている初期のLTEやモバイルWiMAXをはじめとした無線サービスは、既存ネットワークから徐々に進歩したもので、IEEE標準化委員会によって定められた4Gの進化版は大きく通信速度を向上させ、世界の発展途上地域への導入が容易です。
IEEEのフェローであり、1986年に世界初のTDMAチップセットを開発した、東北大学 電気通信研究所教授の加藤修三博士は次のように述べています。「現在先進的なデータネットワークを容易に利用できない農村地域でも、帯域幅の広い4Gにより可能性が大きく広がります。例えば、発展途上の地域において患者や負傷者に対処する救急隊員に対して、医師が映像を使って遠くにいながらも瞬時に対応の指示を出すことができます。また、オンラインで教材を容易に入手できることから、教室での学習体験をより豊かにするだけでなく、農作業の向上に寄与し、生産効率を上げることができます」。
加藤氏はまた「現在、一般的な電話回線によるインターネット接続よりも速い、最大100 Mbpsから1 Gbpsのデータ通信スピードを実現する4G無線は、主要都市と農村・発展途上地域のデジタルデバイドの格差を縮小します。加えて、4Gは以前の世代の無線規格と比較して周波数帯域が非常に大きいため、通信事業者は送信局から、同じ電力でより遠くに届く低周波数信号を用いることができます。これにより、従来の無線技術よりも低コストで地理的範囲を拡大します」と述べています。
国連人口基金によると、世界の半分近くである30億人以上が農村・発展途上地域にて暮らしています。比較的人口密度が低い地域では、光ファイバーケーブルを敷設して通信サービスを提供するコスト効率性は従来受け入れられないものでした。同じく、4G以前の通信方法では周波数帯域幅や受信地域の制約により、ブラジルやインドなどの通信事業者が投資に足る複数のサービスを提供することが困難でした。
しかし近年、農村や発展途上の地域で無線通信の採用率が上昇しています。実際に、Wireless Intelligence社による最近の市場調査結果によると、世界のモバイル接続の80%近くは発展途上国からのものでした。世界銀行により発展途上地域として分類される中国やインドを合わせると、世界のモバイル接続の30%(15億人)近くを占めています。
IEEEのシニアメンバーでインテル社のモバイル ワイヤレス グループのチーフ スタンダード アーキテクトであるカルロス・コルデイロ(Carlos Cordeiro)氏は次のように述べています。「農村や発展途上地域でのワイヤレスサービスの利用契約者数が伸びるにつれ、インフラコストが削減されるため、地域を問わず成長する産業や経済に効率的に関わるためにも、より堅牢で利用者全員にとって役に立つサービスへと転換することが予想されます」。
2001年から、ブロードバンド無線アクセス標準のIEEE 802.16ワーキング グループは、一般的にWiMAXとして知られるMobile WirelessMAN(R)を含む多くの先進無線ネットワーク規格の開発、承認を行ってきました。これらの技術はすでに世界の140ヵ国以上で展開されています。さらなる4Gワイヤレスに関するIEEEの資料やマルチメディアコンテンツは以下の通りです。
・WirelessMANに関するビデオディスカッション: 大都市圏の無線ネットワークに関するIEEE 802.16標準での議論:
http://www.ieee.org/portal/ieeetv/viewer.html?progId=89090
・ブロードバンド無線アクセス標準化委員会のIEEE 802.16ワーキング グループ
Website:
http://www.ieee802.org/16/
【IEEE(アイ・トリプル・イー)とは】
IEEEは世界最大の電気・電子関係の技術者組織であり、米国ニューヨークに本部がある非営利団体です。「アイ・トリプル・イー」と呼称され、正式名称は、"The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc."です。IEEEは、電気・電子のエンジニアリングの分野およびコンピュータ・サイエンスの分野で世界の約30%の文献を出版し、900近い業界標準を策定しています。また、各専門部会がそれぞれ国際会議の開催、論文誌の発行、技術教育、標準化(規格の制定)などの活動を行っています。
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2011/5/18 06:00
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