特別企画
簡単操作で会計処理・確定申告の業務効率を大幅アップ クラウド会計とスキャナーで「領収書の自動処理」を実現
2016年7月22日 06:00
「Fintech」という造語に象徴されるように、金融の世界ではいま、ITを活用した業務改善の動きが活発だ。これに関連したところで日本国内で注目を集めているのは、この9月30日からスマホによる領収書の電子化が可能になる「e文書法」だが、利用にあたっては事前の税務署への届け出が必要だったり、またタイムスタンプの付与も依然として必須であるなど、まだこなれていない感は少なからずある。一般のビジネスユーザーがこれらの恩恵を本格的に受けられるようになるのは、もう少し先だと言えそうだ。
これに対し、クラウド型の会計サービスとスキャナーを組み合わせた自動仕訳は、個人事業主から大手企業に至るまで、導入することですぐに業務効率のアップにつながる、文字通り即戦力のTipsだ。これはスキャナーで取り込んだ領収書やレシートを、OCRでテキストに変換したうえでクラウド型会計サービスに取り込み、自動的に仕訳を行うというもので、これまで手作業で行っていた入力および仕訳が不要になり、チェックだけで済むようになる。確定申告においては、絶大な効果を発揮することは確実だ。
今回は弥生の「やよいの青色申告 オンライン」と、PFUのドキュメントスキャナー「ScanSnap」を組み合わせ、この“領収書の自動仕訳”を実現する方法と、効率化のコツを紹介しよう。
領収書のデータ化からテキスト変換、仕訳処理までをすべて自動化
PFUのドキュメントスキャナー「ScanSnap」には、読み取ったデータを直接クラウドサービスに保存できる「ScanSnap Cloud」なる機能が用意されている。これを使えば、読み取ったのが書類データであればDropboxに、写真データであればOneDriveに、といった具合に、ファイルの種類を判別し、指定したサービスに自動的に振り分けてくれる。PCすら経由する必要がないというから驚きだ。
今回、「弥生会計」「やよいの青色申告」などで知られる弥生の製品が、この「ScanSnap Cloud」に新たに対応した。領収書データの送信先として、弥生製品の窓口であるクラウドサービス「YAYOI SMART CONNECT」を指定しておけば、ScanSnapでスキャンした領収書データが「YAYOI SMART CONNECT」に送られ、自動的に仕訳が行われて「弥生会計」「やよいの青色申告」などに保存されるというわけだ。手入力に比べて手間と時間が大幅に削減できるこの機能を、同社では“スマート取引取込”と呼んでいる。
この「ScanSnap Cloud」との連携機能は、すでに弥生以外の会計サービスでも対応している例があるが、単にスキャンしてPDF化した領収書を送信するだけで、テキストデータの入力および仕訳処理は手作業で行わなくてはならないケースもある。それに対して本サービスでは、データをOCRを使ってテキスト化し、仕訳の処理まですべてを自動的に行ってくれるので、フローをまるごと自動化できる。行わなくてはいけないのは最初のスキャンと、あとは正しく処理されているかのチェックだけなので、手間を大幅に削減できる。
またこの「YAYOI SMART CONNECT」と「ScanSnap Cloud」は、いずれもe文書法に対応しているので、一定要件を満たすことにより、領収書の原本破棄も可能になる。今後e文書法に則った証憑の整理やファイリングが普及することを見越したフローであることも、ひとつのポイントだと言えるだろう。
スキャンするだけで仕訳までの全工程が自動で完了。必要なのはチェックのみ
では実際に試してみよう。「ScanSnap Cloud」はさまざまな弥生製品との連携が可能だが、今回は全機能が1年間無料で使えるオンラインサービス「やよいの青色申告 オンライン」を使ってみよう。利用するスキャナーはPFUの「ScanSnap iX100」だ。なおここでは「やよいの青色申告オンライン」の会員登録をすでに終え、かつScanSnap本体側のWi-Fi設定も完了しているものとして話を進める。
まず最初に「ScanSnap Cloud」の設定を行う。スマホアプリ「ScanSnap Cloud」の設定画面を開き、保存先のウェブサービスとして弥生を指定する。これにより、ScanSnapでスキャンした書類が「やよいの青色申告 オンライン」に自動送信されるようになる。事前の準備はたったこれだけだ。「やよいの青色申告 オンライン」側での設定はとくに必要ない。
続けて、実際に領収書をスキャンしてみよう。ScanSnapのボタンを押して領収書の読み取りを実行し、終わったらもういちどボタンを押して読み取りを完了させる。ScanSnap Cloudで通知を受け取る設定にしていれば、クラウドサービス(ここでは弥生)に保存できたことが、スマホの画面上でポップアップ表示されるはずだ。
続いて「やよいの青色申告 オンライン」を開き、データを確認してみよう。メニューの中から「スマート取引取込」→「スキャンデータ取込」を開くと、先ほど読み取ったデータが一覧で保存されているので、日付や金額が合っているか確認するとともに、必要に応じて摘要欄(店名や社名)やメモ欄に追記する。終わったら「確定して次へ」ボタンをクリックすれば完了だ。複数のデータがある場合は、これを繰り返して内容をチェックする。
チェックが終わり、画面を「取引一覧」に切り替えると、データの自動仕訳が完了しているので、勘定科目が間違っていないかチェックし、必要に応じて修正したり、補助科目を追加したりする。最初のうちは仕訳の解釈ミスもあるが、読み取りと修正を繰り返すうちに仕訳の精度が高まっていくのが体感できるはずだ。最後に行の右端にあるラジオボタンで「送信する」を選択した状態で確定を実行すれば、仕訳は完了となる。
このように、従来のように手元の領収書を見ながら日付や金額、品名を入力したり、さらに借方と貸方それぞれに適切な勘定科目と補助科目を設定するといった手間をかけずに、スキャンするだけで仕訳までの工程がすべて自動的に行えるのが大きなメリットだ。実際には、自動仕訳前に日付や金額などのチェック、さらに自動仕訳後には勘定科目が正しいかのチェックという、2つのチェックプロセスを経ることになるが、精度が上がってくると修正の機会も減り、フリーパスに近い状態で処理が行えるようになる。
入力と修正を繰り返すのが効率のよい自動仕訳を実現するコツ
ここまで紹介した自動仕訳を活用すれば、確定申告を行うにあたっての、領収書の処理フローも変わってくる。例えば、領収書は一日一回スキャンして取り込むようにしておけば、あとは時間の空いた時にブラウザを開いて内容をチェックし、自動仕訳に送信するだけで済む。手入力で毎日処理するのは無理でも、スキャンするだけなら一枚につき数秒もあれば済む。確定申告にあたり、溜まりに溜まった一年分の領収書をいちから手入力する必要もなくなるというわけだ。
実のところ、ひとまずスキャンさえ行っておけば、ブラウザを開いての内容チェックは数カ月に1回もしくは年1回といった頻度で行うことも可能なのだが、これはあまりおすすめしない。というのも、本サービスは学習機能を備えており、うまくいかなかった自動仕訳を繰り返し修正するうちに、適切な勘定科目が選択されるようになるからだ。そのため、なるべく週単位、長くても月単位のサイクルでスキャンと修正を繰り返したほうが、自動仕訳の精度が向上する。自動仕訳を効率よく行うコツとして覚えておくとよいだろう。
なお弥生では、今回紹介しているScanSnapのモバイルスキャナー「iX100」を5年間無料でレンタルするキャンペーンも行っている。すべての機能を1年間無料で使える「やよいの青色申告 オンライン」と組み合わせれば、最小限の投資で、自動仕訳が行える環境が構築できる。この機会に弥生製品とScanSnapを使って、確定申告前に焦ることのない、自動仕訳の環境を構築してみてはいかがだろうか。