「インターネット白書2009」で見る最新動向(1)

1日の接続時間は平均21.9時間、平均速度は20.8Mbps

 インターネットの利用実態について統計データをとりまとめた「インターネット白書2009」(監修:財団法人インターネット協会、発行:インプレスR&D、定価:7140円)が6月18日に発売された。INTERNET Watchでは、その内容の一部を3回にわたって紹介する。

 「インターネット白書2009」では、1日のうちでインターネット利用可能な時間や速度を調べる「インターネットコネクティビティー調査」を初めて実施した。今回は、その結果を中心に紹介するほか、NGNやWiMAXなど新たな接続回線の利用動向についても触れる。

ネット接続可能な21.9時間のうち、実際の利用は1~3時間が最多

 個人ユーザーの利用実態調査は、自宅からインターネットを利用している13歳以上を対象に、gooリサーチで4月17日から23日まで実施。性別や年齢層、1週間あたりのインターネット利用時間別人口構成比などに合うよう条件抽出し、3332人の有効回答を得た。

 インターネットコネクティビティー調査では、インターネットに接続できる各種機器でインターネットに接続可能な時間と不可能な時間を調べた。接続可能時間は、実際にインターネットを利用していた時間ではなく、インターネットに接続できる環境にいた時間を指す。

 さらに、1日を通しての平均インターネット速度を調査し、これらをもとに1日におけるインターネットコネクティビティー(1日の平均接続可能時間×平均実測速度)を算出した。実測速度については、固定回線は「RBB TODAY」のスピード調査、携帯電話回線はインプレスR&Dの「モバイルスピード調査」のデータを使用している。

1日におけるインターネットコネクティビティー

 インターネットコネクティビティーは、全体平均で「21.9時間×20.8Mbps」という結果になった。性年代別では、「男性20代」が「22.6時間×22.1Mbps」でトップだった。なお、インプレスR&Dでは、モバイルインターネットの技術革新によって、近い将来、インターネットを利用したいときに、いつでもどんな場所でも高速で利用可能な環境、「24時間×100Mbps」の時代が来るとしてしおり、それに向けて現在の水準を明らかにするため、今回の調査を実施したという。

 インターネットに1日中接続可能だった機器としては、常に手元にある「携帯電話」が77.3%でトップ、次いで「PC(固定回線)」が49.2%、「ワイヤレス機器」が48.3%だった。また、機器別の接続可能時間の内訳は、「PC(固定回線)の接続可能時間」が19.7時間、PCの接続が不可能で「携帯電話のみ接続可能な時間」が2.2時間だった。

 一方、1日あたりの実際のインターネット利用時間は、1~3時間が41.0%で最も多い。性年代別に見ると、男性20代、30代の利用時間が長く、3時間以上の合計比率がそれぞれ44.5%、41.5%となっている。インターネットを利用する時間帯は午後9時台から午前0時台までがピークだった。

1日のうちインターネットに接続不可能な時間インターネットに接続不可能な時間帯の推移

インターネット利用時間帯の推移

ワイヤレスネット利用率が増加、高速モバイル通信は1.6%

 インターネット接続方法では、「FTTH」が45.9%で最も多く、次いで「ADSL」が34.2%、「CATV」が13.3%など。2008年と比べると、FTTHが41.7%から4.2ポイント増加し、ADSLは39.7%から5.5ポイント減少。また、2008年から商用サービスを開始した「NGN」は1.7%だった。

 接続品質やスピードに対する満足度は、全体で約6割(満足21.5%、やや満足37.4%)、特にFTTHユーザーの満足度は、約7割に達している。FTTH契約事業者のシェアは、「NTT東日本」が37.1%、「NTT西日本」が29.6%となり、両社合計で66.7%と独走状態が続く。以下は、「ケイ・オプティコム」8.3%、「KDDI」7.9%など。一方、ADSLは、「ソフトバンクBB」が34.5%でトップ。次に、「NTT東日本」20.4%、「NTT西日本」14.3%だが、両社を合計すると34.7%で、ソフトバンクBBに拮抗する。

 ワイヤレスインターネットの利用者は、「公衆無線LANサービス(PCで利用)」が2.1%で最も多く、次いで「高速モバイル通信(イー・モバイルなど)」が1.6%、「PCを携帯電話やPHSに接続」が1.0%、「通信機能内蔵のスマートフォン」が0.9%など。その他含めて合計では8.2%で、2008年の2.4%から増加した。利用場所は、「ファストフード、コーヒーショップなどの飲食店」49.0%、「駅構内・空港内、公園などの公共の場所、公共施設」45.9%、「ホテル・旅館などの宿泊施設」44.3%などが多かった。

最も利用しているISPランキングワイヤレスインターネットの利用形態

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(野津 誠)

2009/6/23 16:25