「Windows Live」次期バージョン「Wave4」への動き始まる

クラウドとアプリをシームレスに

 マイクロソフトは、「Windows Live」次期バージョンに向けて、Webサービスのアップデートを9月中旬から実施している。今後の「Windows Live」の展開について、同社コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部オンラインマーケティング本部Windows Live/Mobileグループ プロダクトマネージャーの内河恵氏に話を伺った。

「ムービーメーカー」正式版公開で「Wave3」完了

マイクロソフトの内河恵氏
Windows Live ムービーメーカー正式版の特徴

 「Windows Live」では、マイクロソフト社内で「Wave3」と呼ばれるバージョンの製品群を2008年12月から順次リリースしてきた。その最終段階が「Windows Live ムービーメーカー」正式版の公開だったと内河氏は話す。

 「Windows Live ムービーメーカー」正式版は8月20日に公開されており、マイクロソフトのサイトから無償でダウンロードできる。正式版では、対応する動画形式にQuickTime、AVCHD、MPEG-4、3gp/3g2が加わった。また、YouTubeへの投稿機能も追加した。

 内河氏は、「AVCHDは、Windows 7でも標準対応しており、Windows 7への最適化も図られている」と説明。「対応する動画投稿サイトは、以前だとSoapboxだったが、ユーザーのメリットを考えてYouTubeになった。将来的にはプラグインにより投稿先を追加することもできる」とのこと。「ムービーメーカーは、Windowsのマーケティングでも重要な位置付け」としており、年明け以降に大々的に訴求していくという。

「SkyDrive」にZipでダウンロードできる機能追加

SkyDriveのZipダウンロード機能

 マイクロソフトでは、Windows Liveの次期バージョン(Wave4)へと続く最初のアップデートとして、メールサービス「Hotmail」と、オンラインストレージサービス「SkyDrive」を機能強化する。

 「Hotmail」は、Yahoo!メールとGmailのショートカットキーに対応するなど、使い勝手の向上が図られるという。こちらは、近日中にアップデート予定とのこと。「SkyDrive」は、画像などの複数ファイルをZip形式でまとめてダウンロードできる機能を追加した。

 「SkyDrive」では従来、1ファイルずつしかダウンロードできなかったが、ユーザーから多数の要望を受け、今回の機能追加となった。ファイル保存先のフォルダページにあるメニュー「その他」から、「Zip形式でダウンロードする」を選ぶ。サブフォルダもまとめてダウンロード可能だ。なお、同機能に関しては、すでに全ユーザーのアップデートが完了している。

 このほか、「Windows Live Messenger」や、Windows LiveのWebサービス「ホーム」「プロフィール」などにある「更新情報」を強化した。表示できる他社のWebサービスを拡充し、「ニコニコ動画」「フォト蔵」「食べログ」が国内で初めて対応した。さらに、GoogleやAOLに保存してある連絡先へ、Windows Liveの「知り合い」招待メールを送信できるようになった。

次期バージョン「Wave4」公開は2010年春から夏

SkyDriveのZipダウンロード機能

 Windows Liveと次期OS「Windows 7」との位置付けについて内河氏は、「Windows 7が基本のOSで、そのアプリケーションやサービスを無償のWindows Liveで提供する」と説明する。

 「OSの更新は2年や3年単位になるが、Windows Liveは数カ月おきに新しいアップデートがあるので、ユーザーには常に最新のアプリケーションを提供できる。アプリケーションはフットワーク軽くいきたい」。

 Windows Liveの次期バージョン公開は、2010年の春から夏にかけてを予定する。「今年9月から少しずつアップデートが入り、正式に(次期バージョンが)開始するのは来年の春から」とした。

 次期バージョンの主な変更点としては、「クラウドとアプリケーションの垣根を取ったようなイメージ」。例えば、「SkyDrive」などのサービスとクライアントの連携がより強化されるという。

「ケロロメール」は「Windows Live アドミン センター」を利用

10周年記念キャンペーン

 マイクロソフトでは現在、HotmailとMessengerの日本版サービス開始10周年を記念したキャンペーンを行っている。キャンペーンでは、同じく10周年(原作開始)を迎える「ケロロ軍曹」とコラボレーションした特設サイトを9月7日に開設した。

 プレゼント企画では、ケロロ軍曹のキャラクターグッズやネットブックなどが合計180人に抽選で当たる。ネットブックの機種は明らかにされておらず、「12月の当選発表時点に最新の機種をWindows 7搭載で提供する。ADSLの1年間無料使用権も付く」とのことだ。

 また、Hotmailを「keroro.com」のドメイン名で取得できる「ケロロメール」を提供する。キャラクターごとに5種類のサブドメインを用意。一番選ばれているのは「keroro.keroro.com」で、次が「tamama.keroro.com」だという。「ケロロメール」は、キャンペーン期間が終了しても引き続き利用可能だ。

 「ケロロメール」は、マイクロソフトが提供するサービス「Windows Live アドミン センター」を利用している。同サービスは、Hotmailなどをオリジナルドメインで利用可能とするものだ。これにより登録したユーザーのHotmail画面に、自社のオリジナルロゴも表示できる。システム管理はマイクロソフトが行うため、提携企業の負担は最小限で済むメリットがある。

 このほか、10週連続でメッセンジャー絵文字に新作を追加していく。すでに「ケロロ軍曹」「ニコニコ動画」「かものはしかも。」を公開。このほか、「スマイリーさん」や「タマニマルズ」などが控えている。「ニコニコ動画」に関しては、サイトの左上にあるGIFアニメを絵文字セットにして、10週間の間に順次公開していく。合計で1000個の絵文字が揃う予定だ。

今後の展開HotmailとMessengerの軌跡


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(野津 誠)

2009/9/18 11:11