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「買ってすぐ使える」にこだわった電子書籍端末「BookLive!Reader Lideo」

 電子書籍サービス「BookLive!」が12月10日に発売した「BookLive!Reader Lideo(リディオ)」は、NECが開発した電子ペーパー搭載の電子書籍専用端末だ。すでに発売されている他サービスの端末と比較し、初めてのユーザーでも利用しやすい初期設定や書店と連動したサービスなどが特徴だ。他の電子書籍サービスや専用端末と比較しながらLideoの使用感をレビューする。

BookLive!Reader Lideo

WiMAX機能を標準搭載。物理ボタンの機能割り当てが特徴的

 2012年になって楽天koboやKindleといった大規模の電子書籍サービスが次々に登場した電子書籍市場だが、電子書籍専用端末の拡充も大きなトピックの1つだ。これまで国内ではソニーが電子ペーパー搭載の専用端末を提供してきたが、楽天koboの「kobo Touch」やKindleの「Kindle Paperwhite」に続き、BookLive!も「ookLive!Reader Lideo」を12月10日に発売、4つの大手電子書籍専用端末がそろい踏みした。

 Lideoは他社サービスと同様に16階調グレースケールの6インチE-Ink電子ペーパーディスプレイを搭載。画面の画素数は600×800ドットで、楽天koboの「Kobo touch」やReader Storeの「PRS-T2」と同程度のスペックだ。画素数の違いこそあれ6インチという画面サイズは他社サービスの主力端末と同等のサイズで、現状はほぼ業界標準のスペックとなっている。

電子書籍端末の比較。左からkobo Touch、Kindle Paperwhite 3G、Lideo、PRS-G1

 本体サイズは110×165×9.4mm、重量は約170g。重量はKindle Paperの200g超、Reader Storeの「PRS-G1」やkobo Touch/kogo gloの185gに比べると若干ながら軽く、6インチモデルではPRS-T2の約164gに次ぐ軽量モデルとなっている。

厚さ比較。上からkobo Touch、Kindle Paperwhite 3G、PRS-G1、Lideo

 IEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能に加え、UQ WiMAXが提供する下り40MbpsのモバイルWiMAX(IEEE 802.16e-2005準拠)に対応。通信先はBookLive!のサーバーのみに限定されているが、通信費用などを支払うことなく電子書籍を端末から直接購入することが可能。同様のサービスは海外で先行したKindle Paperwhite 3GがNTTドコモ回線で提供しているほか、Reader Storeではauの3G回線に対応した端末としてPRS-G1を販売している。

 本体メモリは4GB、電子書籍を保存できるデータ領域は約3GBで、microSDカードといった外部ストレージには非対応なほか、PDFや外部の電子書籍データを利用することはできない。ただし、他社の電子書籍端末の本体メモリが基本的に2GBで横並びであることを考えると、標準容量が大きいところは魅力的だ。

 充電はmiroUSB経由で行ない、同梱されるACアダプタのほかPC経由での充電も可能。ただし、PCから電子書籍データをUSB経由で転送するといった機能は備えておらず、電子書籍データは無線経由でダウンロードすることになる。

 本体下部には5つの物理ボタンを搭載。「メニュー」「戻る」といった本体操作系の機能はもちろん、電子書籍サービスへアクセスする「書店」、文字サイズを変更する「文字」といった機能を専用ボタンへ割り当てているほか、ホームボタンも「本棚」という名称を使うなど、こうした電子系の機器が不慣れな人でもわかりやすいインターフェイスが意識されている。

購入時のパッケージ。説明が充実
「書店」「本棚」など特徴的なボタン配置
ボタン部分を比較。上からKobo Touch、Kindle Paperwhite 3G、PRS-G1、Lideo

 なお、電子書籍サービスの専用端末については、4サービスを代表する端末を中心とした以下の比較記事も参照して欲しい。

◇6インチ電子ペーパー搭載の電子書籍端末、どれを選ぶ? 4社・4機種まとめ
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/20121210_577036.html

シンプルで手軽な初期設定。BookLive!アカウントとの統合も可能

 端末利用時の初期設定は非常にシンプルで手軽。端末スペックだけで見ると程度の差こそあれ他社端末と大きな違いが見られないLideoだが、この初期設定の簡易さは他社端末との大きな差別化要因と言っていいだろう。

電源オフ時の画面

 電子書籍端末はその性格上、端末自体のセットアップに加えて電子書籍サービスのアカウントを端末に紐づけねばならず、楽天KoboやReader Storeは端末からの新規アカウント作成やPCで作成したアカウント登録といった作業が必要。Kindleに関してはAmazon.co.jpの限定販売という特性を活かし、端末にAmazon.co.jpのアカウントをプリセットして販売しているが、これにしてもAmazon.co.jpのアカウントが別途必要になるのは変わらない。

 その点、Lideoでは各端末に固有IDが割り当てられており、初回に誕生日や性別といったプロフィール情報に加えて4桁の暗証番号を設定するだけでサービスの利用が可能。通信面でも初期設定では無線LANのセットアップは促されず、初期設定が終わってから任意で設定する流れになっており、設定項目が必要最小限に抑えられている。アカウントが出荷時に紐づけられているKindleですら無線LAN設定が初期設定に含まれていることを考えるとLideoの初期設定は非常にシンプル。書店で本を購入した時のように「買ってすぐに読める」が強く意識されている。

利用規約の確認
BookLive!アカウントをすでに持っているかどうかの確認画面。
「いいえ」を選ぶと、もういちど確認される
数字4桁の暗証番号と生年月日、性別を設定
暗証番号は重要なため再度確認が促される
ログイン完了画面

 BookLive!のアカウントをすでに持っているユーザーも、初期設定でBookLive!アカウントを登録することで、スマートフォンアプリなどと同様に複数端末での利用が可能。また、しばらくはアカウントを登録せずにLideoを利用し、後でBookLive!アカウントを紐づけることもでいる。

 初期設定が終了すると、Lideoの操作方法を説明する操作ガイドが表示される。端末の操作から書籍の購入までの流れが一通り説明されていることもあり、内容も15ページと初期の操作ガイドにしてはやや多いが、ガイド自体は電子書籍としてプリインストールされているため、読むのは後回しにしてもいい。

操作ガイド。ページめくり、しおりを付ける、書籍を探すなど、1ページ1項目で説明されており、初心者にもわかりやすい
ホーム画面
書籍はテキスト表示に切り替えられる
本棚メニュー。購入した書籍を本棚で分類できる
ワイヤレス機能やスリープ機能の設定
無線LANの設定画面
スリープは最大60分まで設定可能
内蔵ストレージは約3GBまで利用できる
ユーザー情報
BookLive!アカウントと統合できる

購入はクレジットカードや電子マネーに対応。店舗での購入も可能

 電子書籍の購入は端末から直接購入するか、Webサイト経由で購入するかの2通り。後者の場合はBookLive!のID登録が必要になるが、端末からの直接購入は前述の通り会員登録不要で利用できる。

 本体の「書店」ボタンを押すとLideo専用のBookLive!サイトを表示。トップページはおすすめやランキングといったコンテンツが表示されるほか、ジャンルや作品名によるカテゴリの絞り込みや書籍名、著者名での検索も可能。表示されるコンテンツは表紙画像が多用されているため視認性も高くわかりやすい。

初回アクセス時にはクレジットカードの登録が促される
ストアのトップページ
特集ページ
ランキングページ
ジャンル検索
書店メニュー

 購入方法は1冊ごとの購入に加え、複数端末をまとめて購入できるカート機能や、気になった書籍を保存しておくキープ機能など多彩。また、無料で内容の一部を確認できる立ち読み機能も用意されている。

 購入の際は初期設定で登録した数字4桁の暗証番号を入力してから決済方法を登録。その後改めて購入内容の確認画面で「購入」を選択すると電子書籍データが本体に自動でダウンロードされる。1クリックで購入できるKindleに比べれば画面遷移は多いものの、暗証番号も簡易なためさほど手間には感じない。また、4桁の暗証番号は決済登録時のみ確認され、その後は本体の電源を再起動してもパスワードの入力は求められなかったため、1クリックとは行かないが2クリックで購入が可能だ。

 決済はクレジットカードの他WebMoney、BitCashといった電子マネーに対応。また、店舗との連動も図られており、三省堂書店ではBookLive!専用のプリペイドカードを発売するほか、店頭で電子書籍の決済を行ない、レシートに記載された購入コードから電子書籍データをダウンロードできるという仕組みも搭載されている。

書籍の詳細。カートやキープ、立ち読みも可能
決済方法登録時に暗証番号を入力
購入確認画面
購入が完了すると自動でダウンロードを開始
ダウンロードの進捗はホーム画面で表示
電子マネーでポイントを購入

読書操作は基本的な機能を網羅。ソーシャル連携は非搭載

 読書の操作方法はフリック操作でページをめくることができるほか、画面下半分をタッチすることで前ページ、画面下半分のタッチで次ページへめくることも可能。画面右上のタッチでしおりを設定したり、テキスト部分の長押しでマーカーを設定し、意味を辞書で調べる機能など、電子書籍端末に搭載されている基本的な機能は実装されている。

書籍を開いたところ
設定
文字サイズやルビ、コントラストなどを設定できる

 細かい点で操作性の向上も図られており、フリック操作から長押しすることでページを大量にめくることが可能。また、マーカー設定も範囲を画面下部のボタンで1文字ずつ調整できるため、タッチ操作のみで範囲を指定するよりも格段に操作しやすい。

マーカー機能。画面下の上下ボタンで1文字ずつ調整できる
辞書機能
文字サイズは専用ボタンから直接変更できる

 操作感は良好で、フリックス操作のレスポンスも良い。白黒反転は3ページに1回の割合で発生しており、他社の電子書籍リーダーに比べると頻度は高いものの、電子ペーパー自体の表示自体、次のページの文字が重なってから切り替わるという特殊な表示方法のため、白黒反転も慣れてしまえばさほど気にはならないだろう。

 面白い機能として、端末のスリープ画面にはBookLive!が薦める書籍の情報が表示され、スリープ画面から購入ボタンを長押しすることで該当の書籍を直接購入できる。個人的には非常に興味深い試みだと思う一方で、Lideoを持ち歩くユーザーからすると、自分の興味が無い書籍がスリープ画面に表示されることを不快に思うユーザーもいるだろう。Web広告のスキップ機能のように、こうした表示が不要の場合はその場で切り替えられる機能が欲しいと感じた。

スリープ時に表示された書籍データ

 なお、他社製品で搭載されているソーシャル連携機能はLideoには一切搭載されていない。そもそもBookLive!というサービス自体ソーシャル連携機能が少なく、端末の方向性もネットよりも書店や店頭などで書籍を購入するユーザーを対象としているだけに当然といえば当然かもしれないが、知人の評判やクチコミも書籍を購入意欲をかき立てる重要な要素だけに、そうしたソーシャル関連機能の搭載も望みたいところだ。

細かな使い勝手の良さに加えて電子書籍ラインアップも充実

 電子ペーパー搭載の電子書籍端末は前述の通り他の電子書籍サービスからも数多くリリースされているが、本体サイズや画面の解像度など基本的なスペックはほぼ同等ながらも、内蔵メモリ容量や本体重量、わかりやすいボタンへの機能割り当てなど、細かな点まで使いやすさが重視されたLideo。とりわけ初期設定の手軽さについては他社と比較しても群を抜いて使いやすい。

 電子書籍サービスの魅力を決めるのは端末スペックよりも電子書籍サービスそのものだが、その点でもBookLive!jは10万冊を超えるラインアップで他を圧倒。BookLive!アカウントを登録すればスマートフォンとの連携も可能でしおり情報を共有できるなど、機能面でも充実。スマートフォンもiPhone、Androidに加えて機能は限定されるもののWindows Phoneにも対応するなど幅広い。KindleやKoboといった海外系サービスが注目される一方で、国内における電子書籍サービスとしては端末・サービスともに頭1つ出た存在だと感じた。

 一方で気になるのはDRMを含めた権利関連の問題。たとえばBookLive!で同時に利用できる端末数は同時に5台までに制限されており、登録端末の解除回数は1年間に10回までと定められている。

 同時に5台という数字自体は他社とほぼ同等であり、年間10回の解除というのも一般的なユーザーであれば対象となる可能性は低いものの、仮に年間10回の解除制限に達した場合には1年間が経過するまで新しい端末でBookLive!を利用することはできず、サポート経由でも解除はできない。年間10回ということで、問題になるのは、あくまでごくごく一部のヘビーユーザーのみとはいえ、この制限を「端末買い替え時の利便向上」を説明している点は正直理解しがたいところだ。

 電子書籍を購入するユーザーが気にするポイントは、書籍点数はもちろんだが、自分が購入したデータが半永久的に自分のものとして所有し続けられるか、という点も大きい。直近でも楽天が電子書籍サービス「Raboo」終了の際、購入した書籍は再ダウンロードできないとの方針が示されたことで、電子書籍サービスに対して信頼感が損なわれたこともあるだけに、ユーザーが購入したデータの利便性を損なう制限をもたらすようなシステムは、たとえば全巻何十冊というセットを購入しようとする際にブレーキになりかねない。ユーザーは本を所有することに慣れており、「一時的な使用権を買う」のであれば、少なくとも紙の書籍と同じ価格では納得できないだろう。

 とはいえ、年間10台の端末制限の対象となるのはごく一部のユーザーでしかないのも事実だ。また、利用端末制限も以前は同時に3台まで、解除回数が5台までだったのが同時利用5台・解除回数は年間10回に改められたり、端末の解除が当該端末以外からも行えるようになるなど、利用者の立場に立った利便性の向上も行われている。電子書籍サービスはまだ新しいサービスなので、利用端末数の制限などは、どの事業者も「とりあえず」その数に決めてみたという感が強く、利用者からの要望によってこうした制限も緩和されていくことも期待できる。

 Lideoは中高齢者でも使いやすいことを配慮して開発されたと聞く。操作ガイドもわかりやすく、ボタンには日本語で「本棚」「メニュー」などの説明がついている。回線接続設定も必要ないため、コンピュータやスマートフォンに慣れていない人でも、パスワードを設定するだけで使い始められる。中高齢者に贈る場合、使いこなせない確率が低い端末と言えるだろう。

 ヘビーユーザーはメインターゲットではないものの、端末とサービス、そして電子書籍というコンテンツが充実したBookLive!だけに、ヘビーユーザーも含めた、電子書籍を購入するユーザーすべてにメリットを与えられるようなサービスの機能向上に今後も期待したいところだ。

【お詫びと訂正】

記事初出時、Lideoに紐付けしたBookLive!のIDの紐付けが解除できないとの記述がありましたが、Lideo単体では「本棚→メニュー→その他→利用端末解除」で、BookLive!のウェブサイトでは「Myページ→利用端末/端末解除」でBookLive! IDに紐付けた端末の解除が行えます。ここにお詫びして訂正いたします。(編集部)

(甲斐 祐樹)