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フレッツ卸利用サービスへの乗り換え、「電話番号」の問題などに注意を

 NTT東西のフレッツ光卸売りサービス「光コラボレーションモデル(以下、光コラボ)」を利用した接続サービスを各社が相次いで発表している。

 光コラボを利用したサービスは、ISPなどの事業者が光アクセス回線とインターネット接続サービスをまとめて提供するものだ。料金面でも、これまでの「フレッツ光+ISP」の合計料金よりも安く提供しているISPが多い。

 ただし、フレッツ光から光コラボ利用サービスへの乗り換え(転用)にあたっては注意が必要だ。総務省からも、「光サービス(FTTHサービス)の乗換えにあたっての注意点」として注意喚起が行われている。

総務省からの注意喚起

 注意喚起では4つのポイントを挙げているが、中でも注意が必要なのは、「光コラボを利用したサービスに一度移行すると、再度移行する際には固定電話の電話番号が変わってしまうことがある」という問題だ。

 フレッツ光から光コラボに移行した場合、ひかり電話の電話番号はそのまま引き継がれる。しかし、もう一度フレッツ光に戻す場合や、さらに別の業者に移行する場合などは、契約を解除して新たに別の契約をすることになるため、電話番号が変わる可能性があるのだ。

 フレッツ光ではISPを乗り換えても電話番号は変わらないが、コラボ光サービスではISPを乗り換えると電話番号が変わってしまう可能性がある。ISPを乗り換えるつもりはない、電話番号が変わっても困らないという人であれば問題ないが、そうでない人は要注意だ。

 この電話番号の問題も、将来的には解消されるかもしれないが、現時点では光コラボ利用サービスへの乗り換えにあたっては、「再度業者を変更すると電話番号も変わる」という問題があることをよく認識しておこう。

ドコモ光の場合

 光コラボ利用サービスでは、NTTドコモの「ドコモ光」や、ソフトバンクの「Softbank 光」といった、携帯電話とのセット割引が受けられるサービスも開始が予定されている。

 ドコモ光の場合には、NTTドコモ自身が提供するISPサービス(ドコモ.net)を使うこともできるが、OCNや@niftyといった他のISPを利用することもできる。ISPによって、NTTドコモがISP料金も一括請求する「タイプA」「タイプB」、ISP料金は別途請求となる「単独型」があり、料金一括請求型の対応ISPは現時点では限られているが、その他のISPでも単独型で利用できる。利用するISPの変更も可能だ(タイプA/Bの場合は事務手数料が必要)。

「ドコモ光」料金一括請求型対応ISP(2015年1月29日現在)

 ドコモ光の注意点としては、「ドコモの携帯電話回線を契約していること」が条件となっているため、携帯電話を解約するとドコモ光も解約となってしまう。NTTドコモでは、携帯電話回線を解約してもドコモ光を継続利用できるよう現在検討を進めているとしており、将来的にはこの問題については解消される見通しだ。

 また、同じISPのままフレッツ光からドコモ光に移行した場合でも、ISPによっては契約のプラン変更となって違約金などを請求される場合もあるため、ISPへの確認も必要だ。

 ドコモ光とSoftbank 光のいずれの場合も、再度フレッツ光に戻りたい、別のサービスに移行したいとなれば、ひかり電話の電話番号が変わってしまうという問題があることは同じだ。セット契約で携帯電話代が割引になるというメリットはあるが、こうした問題があることについては注意しておこう。

「フレッツ・テレビ」など主なオプションサービスはそのまま利用が可能

 フレッツ光のオプションサービスについては、光コラボに転用した場合も主なサービスはそのまま利用できる。テレビサービスの「フレッツ・テレビ」も、光コラボに転用した場合も引き続き利用できる。

 ISPによってはオプションサービスを提供しない場合もあるが、その場合にはNTT東西が引き続きオプションサービスを提供する。例えば、ドコモ光では「ひかり電話」「フレッツ・テレビ」などのオプションサービスは提供しないが、これらのオプションサービスはNTT東西が引き続き提供し、料金請求もNTT東西から行われる。

オプションサービスの提供形態(NTT東日本の資料より)

 オプションサービスのうち光コラボでは利用できなくなるのが、IDサービスの「フレッツ・パスポートID」と、会員制プログラムの「フレッツ光メンバーズクラブ(NTT東日本)」「クラブNTT-West(NTT西日本)」だ。また、NTT東日本の「光iフレーム2」、NTT西日本の「セキュリティ機能」など、フレッツ・パスポートIDを利用しているサービスも利用できなくなる。これらのサービスを利用している場合には注意が必要だ。

回線契約の勧誘トラブルに注意

 光コラボの開始を受けて、各社も新サービスの勧誘を行うことが予想される。一方で、光回線サービスや携帯電話サービスの契約については、全国の消費者センターに多くの相談が寄せられており、実際にサービスを提供する事業者ではない代理店などが勧誘することによる、説明不足や虚偽説明といった問題点も見受けられる。

 フレッツ光からコラボ光への乗り換えにより月額料金は安くなる場合が多いが、通常のISPの乗り換えと同様に、違約金が発生するかどうか、メールアドレスが変わることになるのかといった点は必ず事前に確認しておこう。

 さらに、光コラボへの乗り換えの注意点としては、前述した通り、再度の乗り換え時には固定電話(ひかり電話)の電話番号が変わる可能性がある、という問題がある。乗り換えにあたってはこの点も踏まえて検討し、強引な電話勧誘などを承諾してしまうことのないよう、十分に注意してほしい。

三柳 英樹