「ホロス2050未来会議」キャッチアップ便り

〈インターネット〉の次に来るもの――「第4章 グーテンベルクの終焉/SCREENING」

本の民とスクリーンの民の文化的衝突

神原一光氏。日本放送協会放送総局大型企画開発センターディレクター。これまで「トップランナー」「週刊ニュース深読み」「しあわせニュース」「おやすみ日本 眠いいね!」を担当し、現在は「NHKスペシャル『AIに聞いてみた どうすんのよ!? ニッポン』」シリーズを担当中
GOROman(近藤義仁)氏。株式会社エクシヴィ代表取締役社長。VRエバンジェリスト。2012年の「Oculus Rift」登場に衝撃を受け、VRの中で初音ミクと会える「Mikulus」などを開発。2014年にOculus Japan Teamの立ち上げに参画し、2016年12月Oculus VR社を退社

 2017年9月8日、第4回 ホロス2050未来会議「第4章 グーテンベルクの終焉/SCREENING」~本の民とスクリーンの民の文化的衝突~が、御茶ノ水デジタルハリウッド大学駿河台キャンパスで開催された。

 今回は、ケヴィン・ケリーの著書『〈インターネット〉の次に来るもの』に登場する「スクリーニング」というキーワードを元に、紙からスクリーンへと移行するメディアとコミュニケーションについて考察した。

  • スマホ時代のTVコンテンツの在り方
    → 神原一光氏「スマホの登場でTVビジネスが激変したが、今後さらなるスクリーニングの実現で常時インターネットにつながっていることが意識されない時代がくる。そのとき、TVが新たな公共空間を作れるかは、コンテンツへの信頼獲得が鍵になる」
  • VRによるスクリーニング新時代の到来
    → GOROman(近藤義仁)氏「キャラクターベースからGUIへの進歩の次に来るのは、SUI(スペーシズユーザーインターフェース)だ。ペーパーパラダイムの次にスペースパラダイムが訪れる。VR空間内では360度でウォーリーを探せるし、空間内で仕事のコラボレーションも可能だ。FacebookがVR・ARに2000億円投資したのもうなずける」
  • パネルディスカッション
    別の角度から次代のスクリーニングにアプローチする神原・GOROmanの両氏に元週刊ASCII編集長の福岡俊弘氏も加わり、白熱した議論が行われた。
    → 高木利弘氏「『本の民』の読み書き文化の時代から、『スクリーンの民』の参加型文化へ移行していく」
    → 福岡俊弘氏「口伝から文字に移り編集が入るようになった。複製技術が究極までいくと、オリジナルとコピーの区別がつかなくなり、複製できるものの価値が下がる。体験として初音ミクに本を読んでもらいたい。寄り添うものが次のデバイスだ」
    → 神原一光氏「危機感を持つべきはTVよりも文字ではないか? VRは確かにグーテンベルクの終焉であり、文字はいらなくなる。Windows 95はインターネットで世界にアクセスできたが、それは興味のある人だけ。TVは怠惰な人でも偶然知ることができる」
    → GOROma氏「脳がいい感じならOK。ぼくの家にはテレビがなく、子どもたちはテレビの存在すら知らない。自分はスマホも捨てたい。インターネットが消え、日常のインフラとして視界にスクリーンがあれば、パックマンがドットを食べるようにして目的地に進んでいける」

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次回の「ホロス2050未来会議」開催予定

第5回 ホロス2050未来会議「第5章 所有権よりアクセス権/ACCESSING(アクセスしていく)」
デジタル・ネイティブはわれ先にと前へ進み、未知のものを探索していく

  • 日時:2017年10月17日(火)19:00~
  • 会場:御茶ノ水デジタルハリウッド大学駿河台キャンパス
  • ゲスト:
    玉置泰紀氏 KADOKAWAで「東京ウォーカー」はじめ全国のウォーカー・シリーズの総編集長を担当し、現在は2021年室エグゼクティブプロデューサーとして未来社会のデザイン活動を行っている。
    河崎純真氏 発達障害を抱える人にプログラミングやデザインを教える学校「GIFTED AGENT」の運営、ブロックチェーンを活用した「COMMONS OS」の開発、エストニアに仮想通貨専門ファンド「PUBLIC FUND」の設立など、先進テクノロジーを活用した理想的な未来社会の実現に向けて活動を行っている。

詳細は公式サイトを参照。チケット購入はhttp://holos2050-1705.peatix.com/view