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【裁判】

「ファイルローグ」裁判、日本MMOが著作権侵害の主体と認定
~RIAJ、JASRACの主張が全面的に認められる。損害賠償額は4億円以上の可能性も

■URL
http://www.riaj.or.jp/cgi-bin/press_release.cgi?id=53
http://www.jasrac.or.jp/release/03/01_4.html
http://www.filerogue.net/

 東京地方裁判所は29日、P2P型ファイル交換サービス「ファイルローグ」を運営していた有限会社日本エム・エム・オー(日本MMO)に対して、音楽CDから複製したMP3ファイルを交換させていたことは、著作権侵害に当たるとの中間判決を出した。今後、損害賠償金額の算定作業を行ない、年内にも最終判決が下される。

 この裁判は、社団法人日本レコード協会(RIAJ)の会員であるレコード会社19社と社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が、それぞれ日本MMOを相手取り音楽著作物の権利侵害の停止と損害賠償を求めていたもの。「ファイルローグ」そのものは、2002年4月9日に下された仮処分判決により、サービスを停止していた。

 RIAJの富塚勇会長は、「判決は当然。先に米国でNapsterに対する判決が出されているが、インターネットはボーダレスなコミュニケーションツールであり、同様の判決が出されるべきだ。このような判決があるにも関わらず、世の中に、新技術であるとか、ユーザーの利便性を向上するといい権利侵害を行なう人がいることは理解できない」とコメント。

 また、JASRACの吉田茂理事長は、「単に交換の場を提供しているに過ぎないとする日本MMOの主張が退けられたことを高く評価する」と語り、実際にファイルローグを使って音楽ファイルを交換していたユーザーに対しては、「違法行為は、音楽業界に非常に大きな打撃を与えている。このままでは、音楽創作の泉を枯らしてしまう。適切な利用が、音楽の魅力を向上させる。自分達が、音楽業界全体を覆していることを真剣に考え、違法行為をやめていただきたい」とメッセージを出した。

RIAJ富塚勇会長 JASRAC吉田茂理事長

●裁判の争点

 裁判の争点は、日本MMOが音楽著作物の権利侵害をしているかどうか、日本MMOに対する損害賠償請求は正当な理由があるかの2つ。

 まず、日本MMOが著作権侵害の主体か否かという点では、実際に複製されたMP3ファイルが保存されているのがユーザーのハードディスク内であり、日本MMOの中央サーバーにはインデックス情報しかなかったとしても、交換を行なうためには、日本MMOのサーバーを利用し、日本MMOが提供するクライアントソフトが必要であるため、日本MMOが著作権法の自動公衆送信権と送信可能化権を侵害している主体と認定された。つまり、実際に違法MP3ファイルをやり取りしていたのがユーザーであっても、それは日本MMOの管理下で行なわれていたと判断された。また、広告を掲載していたことや、有料化の予定があったことにも触れられ、日本MMOが利益を上げるために、送信者にMP3ファイル交換をさせていたと判断された。

 日本MMOへの損害賠償が正当な理由に基づいたものかという点では、日本MMOが、ファイルローグ開始以前に、同様の交換サービスで違法交換が行なわれていたことを知っていた点、違法MP3ファイルのファイル名の多くが市販CDに収録されている楽曲名や歌手名を示す文字列で表記されていることから、違法に複製されたMP3ファイルであると考えるのが常識的である点、それら違法MP3ファイルが交換されることを容易に認識できた点などから、日本MMOに過失があったと認定された。判決文では、著作権侵害が行なわれることが想像できる場合には、なんらかの防止措置を講じる義務があるとしている。

 この防止措置について、日本MMOでは、著作権者が該当ファイルを指摘することで、違法送信者に公開停止を命じる「ノーティス・アンド・テイクダウン手続き」を講じていたと主張していた。これに対して裁判所の判決では、ユーザーの本人確認のための手段がとられていなかったため不十分な措置だったと退けた。

 損害賠償額については、今後算定され、年内に終局判決が出される予定だ。賠償は、日本MMOとその代表者である松田道人氏が連帯して負うことが決定されている。現時点で、JASRACが2億8,700万円程度、RIAJが1億9,000万円程度を請求しており、総賠償額4億円を超える可能性がある。

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(2003/1/29)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]

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