【裁判】
「ファイルローグ」裁判、日本MMOが著作権侵害の主体と認定
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RIAJ富塚勇会長 | JASRAC吉田茂理事長 |
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●裁判の争点
裁判の争点は、日本MMOが音楽著作物の権利侵害をしているかどうか、日本MMOに対する損害賠償請求は正当な理由があるかの2つ。
まず、日本MMOが著作権侵害の主体か否かという点では、実際に複製されたMP3ファイルが保存されているのがユーザーのハードディスク内であり、日本MMOの中央サーバーにはインデックス情報しかなかったとしても、交換を行なうためには、日本MMOのサーバーを利用し、日本MMOが提供するクライアントソフトが必要であるため、日本MMOが著作権法の自動公衆送信権と送信可能化権を侵害している主体と認定された。つまり、実際に違法MP3ファイルをやり取りしていたのがユーザーであっても、それは日本MMOの管理下で行なわれていたと判断された。また、広告を掲載していたことや、有料化の予定があったことにも触れられ、日本MMOが利益を上げるために、送信者にMP3ファイル交換をさせていたと判断された。
日本MMOへの損害賠償が正当な理由に基づいたものかという点では、日本MMOが、ファイルローグ開始以前に、同様の交換サービスで違法交換が行なわれていたことを知っていた点、違法MP3ファイルのファイル名の多くが市販CDに収録されている楽曲名や歌手名を示す文字列で表記されていることから、違法に複製されたMP3ファイルであると考えるのが常識的である点、それら違法MP3ファイルが交換されることを容易に認識できた点などから、日本MMOに過失があったと認定された。判決文では、著作権侵害が行なわれることが想像できる場合には、なんらかの防止措置を講じる義務があるとしている。
この防止措置について、日本MMOでは、著作権者が該当ファイルを指摘することで、違法送信者に公開停止を命じる「ノーティス・アンド・テイクダウン手続き」を講じていたと主張していた。これに対して裁判所の判決では、ユーザーの本人確認のための手段がとられていなかったため不十分な措置だったと退けた。
損害賠償額については、今後算定され、年内に終局判決が出される予定だ。賠償は、日本MMOとその代表者である松田道人氏が連帯して負うことが決定されている。現時点で、JASRACが2億8,700万円程度、RIAJが1億9,000万円程度を請求しており、総賠償額4億円を超える可能性がある。
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松田道人氏
(2003/1/29)
[Reported by okada-d@impress.co.jp]