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マイクロソフト新社長ローディング氏「今後はソリューションに注力」


 マイクロソフトは、7月1日付けで同社代表取締役社長に就任したマイケル・ローディング(Michael Rawding)氏の記者会見を都内で行なった。


ソフトベンダーからソリューションカンパニーへ

マイクロソフト代表取締役社長 マイケル・ローディング氏
 「マイクロソフトの社長になりましたマイケル・ローディングです」と日本語での挨拶から始まった記者会見では、まず新社長としての抱負が語られた。「日本のユーザーがITを活用できるようにマイクロソフトがリーダーシップを取っていきたい」と決意を語り、具体的には「パートナー企業とともに、ソリューションに対する需要を喚起していく」とした。従来からのソフトウェア販売だけでなく、パートナー企業との連携を強化し、法人やSOHOなどを対象にしたソリューションを積極的に提供していく姿勢を見せた。

 同氏は、「マイクロソフトの提案するソリューションの強みは、統合されたプラットフォーム上で展開する技術だ」という。.netプラットフォームを基盤に、「Windows Server System」や「Microsoft Office」、各種デバイスなどが利用できることを示し、「人、チーム、組織などそれぞれの単位で生産性を向上できるはず」とした。

 また、「従来製品志向であったマーケティング手法を、よりエンドユーザー志向へと転換する」とも語った。マイクロソフト自身がエンドユーザーへ働きかける「Go-To-Market」という手法でソリューションを提供していくという。記者団からの「阿多前社長との違いは」という質問についても、同氏は「ソリューションを重視していく」と回答した。


企業や公的機関向けの取り組みを強化

 ローディング氏によれば、「企業向けの取り組みをより強化していく」という。「メインフレームのようなレガシーで古いシステムから、マイクロソフトやインテルの提供するシステムに変更してもらうことを促していきたい。大企業だけでなく、中小企業や自治体なども視野に入れている。特に教育機関や自治体向けには継続的に展開していくことも予定している」という。

 マイクロソフトでは研究開発に関して、これまでも東京大学や早稲田大学などの教育機関とも協業していたが、こうした分野の担当人員をさらに増加し、強化していく方針だ。
 同氏はまた、「日本ほど知的財産に依存している国はない」と指摘。政府機関による学術機関への助成、学術機関から企業への技術移転、それにより競争力が強化され、市場の産業が育成し納税額も増大するといった一連のサイクルが好循環しているという。「こうした循環にマイクロソフトも積極的に関与し、政策に適応したITインフラ構築へ貢献していきたい」とした。


日本では知的財産に関しては好循環だという Trustworthy(信頼できる) Computingを推進していくという

コンシューマー向けはブロードバンドが前提

 コンシューマー向けサービスについても語られた。不振が伝えられているXbox事業については、「今後はXbox LIVE!を重視していく。対応するソフトもいくつか発売が予定されている」とした。また、「Window Media 9」のダウンロードも好評とのことで「すでに800万以上ダウンロードされている」という。

 「ナローバンドからブロードバンドへの変化を汲み取ることが大事だ」とし、ブロードバンドを前提としたサービスやアプリケーションを強化していくことを改めて強調した。各ユーザーのコミュニティともコラボレーションしていくとの考えも示した。「もともとマイクロソフトはgrass-roots(草の根)を大事にしてきた。コンシューマーに限らず、あらゆるコミュニティと連携していく」とし、会見を締めくくった。


ブロードバンドを利用したサービスを追加していく ユーザーコミュニティと連携を深めていくとのこと

脆弱性については「影響が大きくならないようベストを尽くす」

 会見終了後の質疑応答では、Windowsの脆弱性についてや対Linuxについて記者の質問が集中した。

 ローディング氏によると「脆弱性については、開発段階、デモ段階などでチェックした上で、発売後も継続的にケアする体制が整備されている。これは従来のOSも、.netプラットフォームやWindows Server 2003でも同様。マイクロソフト側でもベストを尽くしており、今後も脆弱性が発見され次第、修正するプログラムをすばやく配布し、被害が拡大しないよう努める」とした。

 一方Linuxについては「4つのポイントがある」という。「ひとつは、Linuxそのものを我々が理解するということ。これはビジネスとしてやサポート体制などについても含めて。次に、我々には明確なロードマップがあり、逆にLinuxにはそれがないという点。さらに、サードパーティにどれだけのサポートが受けられるかという点。最後にGPL(the GNU General Public License)が商用化という部分でどれだけ問題になるかという点。セキュリティについては、固有の環境ではWindowsが優れている点があるという報告もある」とし、サポート面などではWindowsにアドバンテージがあるという見解を示した。

 このほか、政策企画部が新設されたことにも回答。「政府にロビーイングするわけではない」とした上で、「ITは今後さらに重要で社会的な問題になってくる。そうした将来に向け、政府機関と何らかの協業ができるようにと設置した」としている。


記者からの質問に回答するため、各担当者も登壇した

関連情報

URL
  ニュースリリース(役員人事変更について)
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases03/060603_newsrelease.asp
  日本法人 役員 マイケル ローディング(Michael Rawding)
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/exec_jp/rawding.aspx
  関連記事:ソフトバンクBB、前マイクロソフト社長の阿多親市氏を取締役に招聘
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0728/ata.htm
  関連記事:マイクロソフト、阿多社長が6月一杯で退任
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0606/ms.htm


( 鷹木 創 )
2003/08/06 17:53

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