中国政府が政府関係省庁が購入するソフトウェアを中国製のみに制限し、事実上外国製のソフトウェアをブロックするというニュースが流れて1週間あまりたったが、国内産業を保護するという政策、政府のIT業務に支障が出る可能性も指摘されている。そんな中、Gartnerが影響を考察した。
今回の政策、中国が2002年に世界貿易機関(WTO)に加盟し貿易自由化が見え始めた矢先の保護政策であり、その保護自体はWTOの義務違反ではないが、加盟国との関係に影響が出ることが予見される。中国政府自体が大きなマーケットプレイヤーであるのと同時に、中国では大手企業でさえ上位100社が国営であることを考えると、今回の決定は、省庁のみならず、大手企業に波及することが十分に考えられる。
中国政府の意図するところは、おそらく、オープンソースベースのソフトウェア開発を促すことにあるようだ。しかし、データベースやCRM、ERPといった、世界企業との交流が必要な分野のソフトウェアでは、ローカル開発されたものだけを使用するというわけにもいかない。そこがネックだろうと見られている。
中国政府の今回の決定は、特に、Microsoftへの圧力と見る向きもある。実際、Linux陣営からの攻撃に苦しむ同社は、政府調達向けの製品を例えば、Officeに関して言えば、タイ政府に40ドルで販売している。中国では、今回の対応策として、単純なパッケージをさらに安価で提供するものと見られている。
今回の中国政府の動きは、企業だけでなく、他国政府にも影響を与える可能性も指摘されている。というのも、このところ、各国政府は、セキュリティ強化のため、購入するソフトウェアの選択にかなり慎重になっているからだ。各国の官公庁用途は大きな市場だが、今後は、諸般の事情を考慮した柔軟な対応が必要となると見られている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www3.gartner.com/DisplayDocument?doc_cd=116924
( Gana Hiyoshi )
2003/08/27 17:37
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