Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

ネットはセグメントメディアからパブリックメディアに~WABフォーラム


 社団法人日本広告主協会のWeb広告研究会(Web Advertising Bureau:WAB)は10日、「第8回WABフォーラム」を東京都内で開催した。電通インタラクティブ・コミュニケーション局長である杉山恒太郎氏が「世界のインターネットはクリエイティブ勝負の時代へ」と題する基調講演を行ない、世界のクリエイターが作り出した最新のWeb広告などを紹介しながら、インタラクティブ広告の重要性について語った。

 今日の広告業界の主流は、効果が測定しにくい通常の広告から、販促型のキャンペーンにシフトしつつあるという。そこで重要になってくるのが、広告のインタラクティブ化だ。杉山氏は、「かつてはメディアのほうが重視されていて、クリエイティブの部分は軽視されていた。しかし、インタラクティブな広告で重要になってくるのはクリエイティブの部分であり、これを無視すると将来的にボディーブローのように効いてくることになる」とコメントする。

 また、欧米では消費者像も変化しつつあると指摘する。「アクティブコンシューマ」と呼ばれる層の台頭だ。アクティブコンシューマとは、商品の情報を自ら取得しに行く人、もしくは自分の情報を商品に対して送ってくる人のことを指す。「これらの消費者を上手に取り込むためには、インタラクティブメディアが必要であり、人々をひきつけるクリエイティブが重要になってくる」と杉山氏は語る。

 一方で、広告業界はあらゆるメディアを組み合わせて情報を提供するようになった。例えば、Web上でのショートフィルムの展開などだ。そして消費者は、インタラクティブ広告によって「体験できる」という新しい武器を手に入れたという。杉山氏は「現在はメディアニュートラルの時代になった。ここでは、インタラクティブな広告が主役となる」と述べる。

 さらに杉山氏は、「マスメディアとインタラクティブメディアが対立する時代はすでに終わった」という。「少し前までは、インタラクティブメディアはマスメディアを補完するもの、『M+I』として扱われていた。しかし今日では、マスメディアとインタラクティブメディアをどのように組み合わせるか、つまり『M×I』の時代になってきている」と分析する。

 杉山氏は、販促キャンペーンにおいて、司令塔の部分をインタラクティブが受け持ち、マスメディアに情報をフィードバックしている広告の例として、自動車メーカーのボルボの広告戦略を紹介した。それは、街中に張り出されたポスターにはボルボの車が一切存在しない。その代わりにボルボが似合いそうな大自然の景色と車名、URLだけが描かれている。ボルボの戦略は、マス(ポスター)で集客し、インターネットでコアの部分を提供するというものである。

 最後に杉山氏は、インターネットがセグメント化されたメディアから、新しい形のパブリックメディアに進化したと強調した。「もはや、インターネットはパーソナルなメディアではなく、個人的なパブリックメディアだ。こうなってくると、インターネット広告はどれだけコミュニケーションに力点を置けるかが重要になってくる。つまり、今まで軽視されていたクリエイティブな部分が重要になってくるのだ」と語った。


関連情報

URL
  Web広告研究会
  http://www.wab.ne.jp/
  関連記事:変革するインターネットメディア~Web広告研究会がフォーラム開催
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0924/wab.htm


( 岡田大助 )
2003/09/10 18:13

- ページの先頭へ-

Internet Watch ホームページ
Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.