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Voltage Security社CEOのSathvik Krishnamuthy氏
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米Voltage Security社は、メールアドレスなどのシンプルなIDを公開鍵として利用する暗号技術「Identity Based Encryption(IBE)」を搭載した製品群の国内販売を開始すると発表した。三井物産が国内の独占販売権を取得して実現したもの。
IBEは、スタンフォード大学のBoneh教授らによって開発された公開暗号技術。PKI技術と共通点が多いが、人間が識別可能なメールアドレスやIPアドレスなどのIDを公開鍵として利用しながら、従来の公開鍵暗号系と同等のセキュリティを実現している点が特徴だ。
同社では、IBEを搭載した認証サーバーや暗号メールシステム「Voltage SecureMail」、ファイル暗号化システム「Voltage SecureFile」を開発済みであり、今後インスタントメッセージやVoIPシステムも構築予定だという。日本語化も完了しており、三井物産が販売する。また、既存のLDAPやLotus notes、Webメール、DBなどへの企業内プラグインも可能だとしている。
Voltage SecureMailを利用した場合、クライアントユーザーはOutlook Expressなどに対応したプラグインをインストールするだけで暗号メールを送受信可能となる。従来のPKIやPGPなどを利用する場合には、暗号メールを送信する際に証明書発行などの複雑な手続きが必要だったが、IBEの場合は送信者が受信者のメールアドレスさえ知っていれば暗号メールが送信できる。
具体的には、送信者が受信者のメールアドレスを入力し「暗号化して送信」というボタンを押すだけで、IBEによって暗号化されたメールが送信される。受信者は、暗号鍵を管理するサーバーにアクセスし、プラグインおよび秘密鍵をインストールするだけで、メールを復号して閲覧することが可能。1度プラグインをインストールすれば、再度認証する必要はないという。
Voltage Security社CEOのSathvik Krishnamuthy氏は、「メールアドレスや社員番号、IPアドレスなどの既にDB化されているIDを公開鍵として利用できるため、PKIなどと比較して簡単に暗号化が可能だ。これをきっかけに暗号化が促進されるはずだ」と語った。
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IBEの動作原理。プラグインを導入済みユーザーが、導入していないユーザーへ暗号メールを送信する際のイメージ図
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プラグインをインストールしていない一般ユーザーが暗号メールを送信する際のイメージ図
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プラグイン導入済みの「Outlook Express」の画面。送信ボタンの右に「暗号送信」というボタンがあるのがわかる
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プラグインを導入していないユーザーが暗号メールを受け取った際の画面。プラグインをダウンロードしてくれば復号できる
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関連情報
■URL
米Voltage Security社(英文)
http://www.voltage.com/
関連記事:暗号メールに画期的新技術? ベンチャー企業Voltageが新製品を発表
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0709/voltage.htm
( 大津 心 )
2003/11/04 18:12
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