Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

JPRS、IDN未対応ブラウザから日本語JPドメイン名が利用できるサービス


「日本語JPナビ」提供の背景を説明するJPRSの堀田博文取締役。「登録はできるが利用環境が普及しない」ことが障害となり、日本語JPドメイン名の登録数は2年半前の約6万件から今では4万数千件に減少しているという
 日本レジストリサービス(JPRS)が、Webブラウザにおける国際化ドメイン名(IDN)対応環境の普及を促進するためのサービス「日本語JPナビ(仮称)」の提供を検討している。「Internet Explorer(IE)」などIDNに対応していないブラウザから日本語JPドメイン名へアクセスしようとした場合にIDN対応ソフトの案内ページを表示するもので、19日に検討資料を同社Webサイト上で公開。2月6日まで広く意見を募ったのち、2月中旬にも実施するかどうかを決定する。

 これまでIDN未対応ブラウザから日本語JPドメイン名のWebサイトにアクセスしようとすると、「ページが見つかりません」などのエラーメッセージが表示されていた。これに代わって表示される日本語JPナビでは、IE用のIDN対応化プラグインソフト「i-Nav」や、すでに最新版でIDNに対応しているWebブラウザ「Netscape」および「Opera」のダウンロードサイトへのリンクが表示される。また、これらのソフトをインストールしなくても目的のWebサイトへアクセスできるリンクも併せて表示する。これにより、IDN環境ではないユーザーが対応ソフトをダウンロードしたり、日本語ドメイン名でWebサイトにアクセスできるようになる。

 本来、RFCで規定されているIDNの標準仕様では、日本語などの文字列はPunycodeというエンコード方式によりアプリケーション内で7bitのASCII文字列に変換してから、DNSに対してクエリーとして送信するようになっている。これに対して日本語JPナビでは、ほとんどのIDN未対応ブラウザが8bitのローカルエンコードのままクエリーを送信するという挙動を利用。UTF-8エンコードによる8bit表現をあらかじめDNSのリソースレコードに設定しておくことで、Punycode形式ではない8bitでのクエリーにも応答する仕組みだ。

 DNSに設定されるのはUTF-8でエンコードされた形式のみで、シフトJISなどには対応しない。したがって、日本語JPナビが利用できるのは、UTF-8形式でクエリーを送信することが確認されているWindows XP/2000とIE6.0以降の組み合わせのみとなる。Mac OS X用の「Safari」なども含め、その他のOSと主要なブラウザの組み合わせについては調査中だという。


案内ページ案を説明するJPRS技術研究部の米谷嘉朗部長代理。8bitのクエリーに対して該当するWebサイトを直接表示することも可能だが、IDNの利用には対応ブラウザが必要だということをユーザーに広く認知してもらうため、あえて「日本語JPナビ」のページを表示するようにした
 同様のサービスは、「.com」と「.net」でIDNを展開する米VeriSignでも2003年1月から「Web Based Navigation(WBN)」として提供を開始していた。ただし、当初は8bitのクエリーをすべてIDNとみなしてWBNのIPアドレスを返していたため、存在しないドメイン名についてもWBNのページが表示されるなどの問題が指摘されていた。後にこの点は修正されたが、WBNで扱う8bit表現がUTF-8やシフトJISなど複数あるため、ある1種類の8bitクエリーに対して複数のドメイン名が一致する危険性は残っているという。

 これに対して日本語JPナビでは、DNSにはUTF-8表現のみを登録するため問題はないという。ただし、DNSで8bitデータを扱うことは、RFC違反ではないものの運用実績はないに等しいと説明。技術的な問題がないことを確認するとともに、インターネットコミュニティの理解を得るため、サービス提供前にコメントを求める期間を設けることにした。

 なお、日本語JPナビは、現在登録されているすべての日本語JPドメイン名に対して強制的に提供されるサービスではない。ドメイン名の登録者がJPRSに承諾した場合にのみ、そのドメイン名のUTF-8表現がDNSに追加登録される。登録されるリソースは、WebサイトのIPアドレスを設定するAレコードとメールの転送先を設定するMXレコードで、Aレコードには日本語JPナビのIPアドレスが設定される。一方、MXレコードには、存在しないダミーのドメイン名を設定。8bitクエリーでメール送信要求があった場合でも意図的に配送エラーとなるようにする。


関連情報

URL
  日本語JPナビ(仮称)の検討について
  http://jprs.jp/info/notice/jpnavi-proposal.html
  関連記事:VeriSign GRS、IDN対応ソリューション「Web Based Navigation」を修正へ
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0210/icann.htm
  関連記事:日本語ドメイン名の普及に、残る課題はアプリケーションの対応
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0730/jprs.htm


( 永沢 茂 )
2004/01/19 19:42

- ページの先頭へ-

Internet Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.