米オープン・ソース・デベロップメント・ラボ(OSDL)は10日、SCOグループによる著作権の所有に関するノベルに対しての訴訟において、判決が言い渡されるまでLinuxユーザーは、SCOグループの法的脅迫を無視したほうが良いとするポジションペーパー(声明書)を公開した。OSDLは、Linux開発者のLinus Torvalds氏が所属する、Linuxの成長とエンタープライズでのLinux採用の促進を目的としたNPO。
同ポジションペーパーの著者である、コロンビア大学のEben Moglen教授による主張は以下の通り。
(1)SCOグループがノベルを提訴したということは、同社がUnixの著作権を保有しているという主張が、法的に争う余地があると認めているということである。また、どのような審判も、SCOグループの権利を意図的に侵害しているとしてエンドユーザーに法的な責任を問うことはない。その結果、LinuxユーザーはSCOグループからライセンスを購入する動機はほとんどなく、そのかわりに、SCOグループとノベルの間で、どちらが著作権を保有しているかについての最終決定を待つことになる。
(2)訴訟が解決したとして、どちらが勝利するかにかかわらず、SCOグループおよびノベルのいずれからもライセンスを購入することなく、ユーザーはLinuxコードを使う権利がある。SCOグループとノベルは、ソースコードの自由な利用や変更の権利を認めているGeneral Public Licence(GPL)に基づいて、これまでLinuxコードを配布してきている。そのため、訴訟の結果がこれらの権利に何ら影響を与えることはなく、ユーザーはSCOグループからもノベルからも追加ライセンスを購入する義務はない。
また、OSDLはLinuxユーザーがSCOグループとの訴訟に巻き込まれた場合の、法的費用を負担するリーガルファンドの設立を1月に発表している。OSDLは同基金に1,000万ドル調達することを目指しており、個人、団体および企業からの寄付金を受け付けている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.osdl.org/newsroom/press_releases/2004/2004_02_10_beaverton.html
ポジションペーパー(英文、PDF)
http://www.osdl.org/docs/osdl_eben_moglen_third_statement.pdf
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( 三柳英樹 )
2004/02/12 22:10
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