コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は2月27日、2003年度の事業報告をとりまとめた。同日までに、著作権侵害により同協会の会員企業が告訴した刑事事件は17件に上った。
17件のうち9件が、Yahoo!オークションがらみの事件だった。4月にYahoo!オークションで海賊版ソフトウェアを販売していたパソコン塾経営の男性が警視庁に逮捕されたのをはじめ、6月には親子で海賊版を出品していた福岡県のタクシー運転手の男性らが送検されている。さらに10月には、他人のクレジットカード情報を盗んで取得したオークションIDで海賊版を販売し、約3,500万円もの売上を上げていた東京都の男性2人が長野県警に逮捕された。
ACCSでは「ヤフオクが目を引く」とコメントしているが、2002年度は刑事事件のうち、ネットを使ったもの7件すべてがオークションによるものだったことを考えると、他の手段による海賊版販売の摘発者も増加していると言える。オンラインストレージ(2月、京都府警)やファイル交換ソフト「Winny」(11月、京都府警)によるもののほか、ホームページで海賊版の販売代理店を募っていた事例もあった(6月と12月、兵庫県警)。ネット以外では、秋葉原の路上で海賊版販売を行なっていたグループ4人が逮捕されている(11月、警視庁)。
民事事件では、1998年5月1日から2004年2月25日までに、企業内におけるソフトウェアの不正利用に関わる報告が1,575件寄せられており、このうちの241件が2003年度中に和解などにより解決した(和解金の総額は8億8,115万1,591円)。
特に10月には、パソコンスクールと経営者を相手取り、不正コピーの損害賠償を求めていた訴訟で、約4,000万円の支払いを命じる判決が出されたことが注目に値するとしている。組織内の不正コピーにおける経営者の個人責任を認める初の判決であるとともに、すでに消去されていたソフトについても痕跡があれば不正にインストールされたことを認めた点、賠償額の算定基準としてメーカーの希望小売価格が採用された点などがポイントだという。
関連情報
■URL
コンピュータソフトウェア著作権協会
http://www.accsjp.or.jp/
関連記事:ACCSがネット上の違法行為対策を強化へ
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0214/accs.htm
関連記事:ヤフーとACCS、Yahoo!オークションの著作権侵害出品の削除で提携
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/15/1766.html
( 永沢 茂 )
2004/03/01 16:38
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