日立製作所は、同社の電子行政ショールーム「CyberGovernment Square(CGS)」を19日にリニューアルオープンする。16日に報道関係者向けに公開した。
CGSは、1999年8月に発表された政府プロジェクト「ミレニアム・プロジェクト」に呼応したショールームとして2000年3月に設立。行政事務における電子化の海外先進事例や、国内導入事例など紹介し、開設以来約15,000人が来場したという。今回のリニューアルでは、ICタグや公的認証システムなどを新たに追加した。Webアクセシビリティや、入退室のセキュリティシステムも展示している。
会場では、ICタグとPDAを用いた視覚障害者向け「歩行者ITS」をデモンストレーションした。歩道の点字ブロックに位置情報を組み込んだタグを埋め込み、タグ読み込み用のアンテナを搭載した杖で位置情報を確認するというものだ。音声合成で情報提供するための日立製PDA「NPD-20JWL」や、骨伝導イヤホン、磁気方位センサーなどを組み合わせている。
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ICタグを利用したナビゲーションシステム「歩行者ITS」
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経路に点字ブロックを設置
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日立製PDA「NPD-20JWL」を組み込んでいる
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独自開発の磁気方位センサー
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画面右側に表示されているのが「Zoom Sight」
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また、Webアクセシビリティの例として、地方自治体をモチーフにしたWebサイトのサンプルを用意。表示されたページの拡大・縮小などが可能なInternet Explorer対応プラグイン「Zoom Sight」を実演した。なお、Zoom Sightは、すでに西東京市などのWebサイトで導入されており、実際に利用できる。
指先に赤外線を照射して、血流中のヘモグロビンの影で認証する指認証システムも展示。「個人情報などを取り扱う高セキュリティルームなどでの利用を想定している。指紋認証と異なり、ケガなどで認証できなくなるといったことが少ない」(カスタマー・リレーションズセンタプロモーショングループの泉菜穂子主任)という。このほか、独自の署名技術「ヒステリシス署名」などを採用した文書管理システムや、ICタグとPCを連携させてコンテンツを提供するシステムなども披露した。
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指先に赤外線を照射して、血流中のヘモグロビンの影で認証する指認証システム
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PCでヘモグロビンの影を登録
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複合機を利用して、紙の文書を電子化。「ヒステリシス署名」技術を利用して、文書の改ざんを防ぐ
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ICタグを机に埋め込まれたPCで読み込み、コンテンツを表示。
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公的個人認証システムについては、地方自治体の役所に設置する登録用端末や個人向けカードリーダー/ライターの展示のみに止まっている。「住民基本台帳カード(住基カード)は現状、利用できるアプリケーションやサービスが少ないため、本人確認のためにしか利用されていない」(公共ビジネス企画本部総合企画部の紅林徹也部長)ためである。紅林部長は、「運転免許証やパスポート以上のものにはなっておらず、今後は利用できるアプリケーションを増やすことが必要だ」と指摘し、「制度的には難しい面もある」と前置きした上で、「インターネットにアクセスするための認証に利用できれば、インターネットの信用度も向上し、住基カードの重要性も増す。また、信用度が向上すれば、コンテンツビジネスのあり方も変わるのではないだろうか」と見解を述べた。
紅林部長によれば、「電子行政の基盤整備は、ほぼ終わった。公的個人認証なども開始され、普及期に入りつつある」という。すでに日立では、インフラとして共同利用する各システムを行政機関や自治体向けに納入。今後は、政府の「e-Japan戦略II」に則り、「IT活用により、元気・安心・感動・便利な社会」の実現に貢献するとし、行政事務だけでなく公共サービス全般に向けてシステムを提供するとしている。
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公共ビジネス企画本部総合企画部の紅林徹也部長
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カスタマー・リレーションズセンタプロモーショングループの泉菜穂子主任
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2004/04/0416.html
CyberGovernment Square
http://www.hitachi.co.jp/cgs/
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・ 公的個人認証申し込み体験レポート~足立区の場合(2004/02/02)
( 鷹木 創 )
2004/04/16 15:57
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