独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)は12日、量子暗号通信に用いる光子検出装置の高速化に成功し、量子暗号通信での鍵配布実験において、世界最高となる鍵生成率45kbpsを達成したと発表した。
量子暗号通信は、光ファイバで伝送される光子1個に1ビットの情報を載せて、暗号鍵を伝送する暗号技術。通信を途中で盗聴しようとすると、量子力学における不確定性原理により光子の量子状態が変化してしまうため、盗聴を確実に検知できるという特徴を持つ。
通常の光ファイバによる通信と異なり、光子1個という極めて微弱な単位での通信となるため、実用化には光ファイバの伝送損失の改善や、受信側の光子検出装置の高速化が課題となっている。産総研では、新たに開発した光子検出法によって10MHzで動作する光子検出装置を開発し、光ファイバ長10.5km、波長1,550nmでの光暗号通信において、世界最高となる暗号鍵生成率45kbpsを達成した。
産総研では今後、光ファイバ長を100km程度に延長し、10MHz以上で動作する光子検出装置を開発することで、長距離かつ高速な量子暗号通信の実現を目指すとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20040512/pr20040512.html
( 三柳英樹 )
2004/05/12 17:49
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