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ACCSとoffice氏が和解~掲示板の監視義務を課す仮処分申請で


8日、ACCSの総会の後に開かれた記者会見で。辻本憲三理事長(カプコン代表取締役社長、右)と、久保田裕専務理事(左)
 コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は8日、同社Webサーバーから個人情報約1,200件が流出した事件に関して、実際に引き出された個人情報の一部やその入手方法をイベントで開示した元京都大学助手の男性(office氏)に対して、インターネット上の掲示板の監視義務などを課すよう求めていた仮処分申請において、京都地裁で3日、和解が成立したと発表した。

 仮処分申請は、ACCSが5月17日に京都地裁に申し立てていたもので、今回office氏は、ACCSの要求に同意し、それらを自主的に行なう旨を宣言したという。具体的には、1)個人情報約1,200件と、その一部が含まれたPowerPointファイルが掲示板などに掲載されていないかどうか、和解日から1年間にわたって1日1回程度チェックすること、2)掲載が確認された場合はACCSに報告するとともに、掲示板の管理者などに削除を求め、掲載者を特定するための情報収集を行なうこと、3)チェック状況を月に1回ACCSに報告すること──が和解調書に明記されることになった。なお、チェック対象は、2ちゃんねる、2ちゃんねるプロバイダー、はてなダイアリー。

 ACCSの久保田裕専務理事は、話し合いの中で実際にoffice氏と面会した際の印象などから、同氏がACCSの求めに応じたことについて、「不正アクセスのほうはいざ知らず、個人情報(を流出させた責任)については、反省の色が見られたのではないか」と述べている。なお、office氏は不正アクセス禁止法違反の罪で起訴されているが、ACCSの個人情報入手は不正アクセスにはあたらないとして無罪を主張している。

 ACCSは今回の仮処分申請のほか、実際にイベントで個人情報を開示された3人とともにoffice氏を相手取って損害賠償訴訟も起こしているが、ネット上で個人情報が流出してしまった場合の責任問題を解決するにあたっては、1人あるいは1件につきいくらの賠償金を支払うべきかといったこれまでの議論以外に、今回のような監視義務についても法律の場の中で考えていく必要があると指摘している。


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URL
  ニュースリリース
  http://www.askaccs.ne.jp/security_2003.html

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( 永沢 茂 )
2004/06/08 18:27

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