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携帯電話ウイルス「Cabir」は未来の感染予防に教訓~Symbianが詳細公表


ここでイエスと選択して初めてCabirがインストールされる
 携帯電話向けOSを開発・供給している英Symbianは18日、セキュリティ企業各社が15日に報告した携帯電話ウイルス「Cabir」についての詳細な情報を公表した。Cabirは実質的な被害をもたらしてはいないが、その挙動を見ることで、今後登場することは間違いないと思われる携帯電話ウイルスに対する防衛策を考える上で参考となる情報を提供してくれる。

 Symbianによると、Cabirは、Symbian OSを搭載している携帯電話の中でも「Series 60」ユーザーインターフェイスプラットフォームを使用している機種にしか感染できない。富士通のFOMA携帯電話もSymbian OSを採用してはいるが、CabirをインストールすることはできなかったとSymbianは説明している。また、Cabir自身がインストールされたとしても、携帯電話のデータを消すなど危険な動作をすることがないため、実質的な被害はない。

 Cabirにいったん感染した携帯電話は、近隣のBluetoothデバイスを検索し、一番最初のデバイスに自身を転送する。そのデバイスがSeries60携帯電話であった場合、「見知らぬデバイスからのBluetoothメッセージを受け取りますか」とのメッセージを画面に表示。イエスと答えた場合には、次に「インストールセキュリティ警告。サプライヤーを確認することができません。続けますか」というセキュリティ警告が表示され、再びイエスかノーを選択することになる。イエスと答えるとウイルスが正体を現わし、「Caribeをインストールしますか」と表示。ここでイエスを選択して初めてCabirがインストールされ、ウイルスに感染する。結局、3回もメッセージが表示され、その都度「イエス」を選択しなければCabirに感染することはないのである。

 重要なのは、CabirがSymbian OSの脆弱性を利用して自動的に感染を広げるのではなく、携帯電話を利用している人間を欺くことによって感染しようとしている点にある。Cabirの場合は、携帯電話ウイルスが開発可能であることを示すコンセプトウイルスだったことから表示するメッセージが極めて稚拙であるが、今後、人間の弱点を突くような巧妙なメッセージを表示することで感染を広げようとする携帯電話ウイルスが登場する可能性は否定できない。PCに感染するウイルスと同じく、不審なアプリケーションやメッセージに対して誘惑に乗ることがないよう注意することが感染を防ぐために極めて重要である。


関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.symbian.com/press-office/2004/pr040618.html

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携帯電話に感染する初のウイルス「Cabir」~露Kasperskyが報告(2004/06/15)


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/06/21 13:08

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