財団法人インターネット協会(IAjapan)は6月30日、「インターネットにおけるルールとマナー検定(こどもばん)」を8月10日から9月10日まで実施すると発表した。メールアドレスを持っていれば、誰でも同協会のWebサイト上から無料で受検できる。
大人向けのオンライン検定はすでに2003年夏にスタートしており、現在までに3回実施。合計で25,000人以上が受検したという。さらに4回目の検定を8月に実施するにあたって、小中学生を対象とした「こどもばん」もあわせて提供することにした。子供のインターネット利用が盛んになっていることから以前より検討していたものだが、佐世保市の児童殺傷事件の影響もあって実施に踏み切ったという。
検定は、1)インターネットを利用するにあたって自分の身を守り、他人に迷惑をかけないようにするための「ルール」、2)他人への配慮のために知っておくべき「マナー」、3)インターネットに関する「基礎知識」という3分野の知識を問うもの。解答は選択肢形式となっている。大人向け検定では100問中90問以上正解で合格だが、「こどもばん」では設問数を減らし、30問中27問以上で合格とした。普及・啓蒙の観点から、参考資料を見ながら解答でき、何度でも受検可能だ。合格者のうち希望者には、有料で合格証カードを発行する。発行手数料は500~1,000円を予定している。
なお、IAjapanでは現在、「インターネットを利用する子供のためのルールとマナー集」をWebサイト上で公開しているが、検定開始時までにこれを改訂する。従来は、BBSやチャット、メーリングリストについては「子供にはまだ早いから、1人で利用してはいけない」というスタンスだったが、今では状況も変わり一律に禁止するのは現実的ではないことから、改訂版では利用するにあたっての注意点を説明する方向へ変更するという。オンライン検定は、ルールとマナー集の改訂版の内容に基づいて出題される。
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冊子版はA5版32ページ
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このほかIAjapanでは30日、NGOのECPAT/ストップ子ども買春の会が発行した「インターネット上の子どもの安全ガイド」の改訂版をWebサイト上で公開した。安全ガイドは、国際NGOのECPAT Internationalが編集・発行した英語版をベースに翻訳・再構成したもので、子供たちがインターネットを利用することで性的搾取に巻き込まれることがないようにするための知識が示されている。
具体的には、無料メールやニュースグループ、チャット、インスタントメッセージ、BBSなどインターネット上の各種コミュニケーション手段のほか、性的搾取者がよく利用するというソフトや技術について基礎的な知識を提供した上で、子供たちが自分の身を守るために覚えておくべき9項目の「ネットスマート・ルール」を紹介している。改訂版では言葉遣いなどを見直し、子供たち自身にも読みやすいよう配慮したという。
安全ガイドではこのほか、親や教師向けに、子供を守るために保護者が利用できる手段としてフィルタリングソフトの利用方法などを説明。また、関連する法律や条約、各国の摘発事例なども紹介している。なお、安全ガイドは冊子としても5,000部発行し、PTAなどを通じて配布する予定だという。
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安全ガイドを翻訳・編集した、ECPAT International理事でECPAT/ストップ子ども買春の会コアメンバーの宇佐美昌伸氏(左)
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IAjapanが公開しているWeb版。安全ガイドの編集にあたっては、用語解説などの面でIAjapanも協力している
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関連情報
■URL
ニュースリリース(オンライン検定)
http://www.iajapan.org/press/20040630press.html
ニュースリリース(安全ガイド)
http://www.iajapan.org/ecpat/20040630press.html
「インターネット上の子どもの安全ガイド」改訂版
http://www.iajapan.org/ecpat/ecpatguide2004.html
関連記事:IAjapan、ネットマナーに関するオンライン検定の秋冬版を実施
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/11/13/1122.html
関連記事:エクパット、「インターネット上の子供の安全ガイド」を発行
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0327/ecpat.htm
( 永沢 茂 )
2004/06/30 20:27
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