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ライブドア、近鉄球団の買収交渉に関する発表会開催


 ライブドアは30日、プロ野球球団の大阪近鉄バファローズに対する買収交渉について記者会見を行ない、これまでの経緯と今後の方針を説明した。ライブドアの堀江貴文代表取締役社長は、関係者を通じて大阪近鉄バファローズ球団に対して買収のオファーを出していることを明らかにし、今後は正式に買収交渉を進めていきたいと語った。


買収の話は2月から。合併の動きを受けて買収の意思を近鉄に伝える

ライブドアの堀江貴文代表取締役社長(左)と宮内亮治取締役最高財務責任者(右)
 会見では、ライブドアの宮内亮治取締役最高財務責任者から、球団買収交渉に関してこれまでの経緯が説明された。宮内氏によれば、2004年2月下旬から3月にかけて、証券会社から近鉄球団を買収できないかという話が持ちかけられたという。その時点ではぜひ話を進めてもらいたいとしたものの、プロ野球のシーズンが始まったこともあり、買収に関する話は一旦そこで途切れたという。ライブドアとしては、今シーズン終了後に改めて買収交渉を進めたいと考えていたところ、オリックスと近鉄の合併という状況の変化があったために、関係者を通じて近鉄に対して買収の意思があることを伝えたという。

 堀江氏は、「このまま合併が進んで1リーグに向かっていくというのは縮小均衡でしかなく、球団の数を減らすということは将来スポーツ選手になりたいという子どもたちのチャンスを減らすことであり、プロ野球の衰退につながってしまう」と語り、「Jリーグはチーム数を増やしているのに、プロ野球は減らすのか。このままプロ野球を衰退させるのはどうかという思いもあった」と、買収交渉に至った理由を明らかにした。

 また、「ライブドアは球団を長期間に渡って経営できないほど小さな会社ではない」として、現時点では500億円を超える現預金も保有しており、5年や10年で球団を手放さなければならなくなるような会社ではないと強調。また、球団の買収を行なった後には、できるだけ早い段階で独立採算で運営できるように経営状況を改善していきたいとした。堀江氏は、親会社の支援に頼っているような経営状況では、いずれはどんなチームであっても売却や合併といった話が持ち上がってくるのは避けられないとして、たとえばアメリカでも経営努力によってローコストでいいチームを作り上げている例もあり、やりかたはあるはずだと述べた。また、ベンチャー企業経営のノウハウも活用できるのではないかとして、たとえば球団として株式公開を目指し、選手や従業員に対してストックオプションを発行するようなやり方も考えていると述べた。


決して売名行為ではなく、買収は本気で考えている

「買収は本気で考えている」と語るライブドアの堀江社長
 質疑応答では、「近鉄はこの話は断ったとしているのに、このような会見を開くのは売名行為ではないのか」という質問に対して、堀江氏は「今回の件で名前を売ろうとかそういうつもりは全く無い」と否定。会社のプロモーションはCMなどの正攻法で進めていきたいとして、球団の買収は真剣に考えていることであると強調。また記者会見については、買収交渉のオファーは出しているものの、このような形で記者会見を開いて球団買収の意思があることを広くアピールしていかなければ、正式な交渉の場につくことも難しいのではないかと考え、以前から記者会見の準備を進めていたところ、一部の新聞で買収交渉を報道することが判明したため、取り急ぎ記者会見を行なうことにしたという。

 近鉄に対しては、正式な形での買収交渉はこれからということもあり、現時点では近鉄側が球団売却の意思はないというコメントを出しているのではないかとし、ライブドアとしてはオリックスよりもいい条件でのオファーが提示できる自信があると語った。買収金額については、以前の話の中で10億から30億という金額が出たことはあるものの、具体的な金額は提示していないという。また、報道された「ライブドアからは売却に応じなければ株主代表訴訟を起こすと言われた」という近鉄側のコメントに対しては、「近鉄と直接交渉したことはなく、事実ではない。また、ライブドアは近鉄の株主でもないため、そのようなことは不可能であり、理解できない」と述べた。


「大阪」「バファローズ」はそのまま。本社機能の大阪移転も検討

 買収した場合の球団名については、「大阪」「バファローズ」を変えるつもりは無いとして、フランチャイズも大阪のままにする考えだと述べ、そうなった場合には、ライブドアの本社機能を大阪に移転することも検討したいと語った。ライブドアの現在の事業との関係については、スポーツというコンテンツの重要性はこれからさらに増すと考えており、プロ野球は極めて有望なコンテンツであるとした上で、そうした中で球団数を削減し、縮小の方向に向かっていくという動きは、コンテンツサービスを提供していく側としてはなんとかしなくてはいけないと考えたという。

 球団経営を自立させていく方針については、アメリカのプロスポーツや、日本でもサッカーではJ2の小さなクラブでも黒字化を達成しているケースもあり、まずはそうしたいいお手本を参考にするとともに、これまでの会社経営で行なってきたような間接コストの削減などにより、経営改善を進めたいとした。さらに、ベンチャー企業の経営で用いたように、球団自体の株式公開を目標にして、選手や従業員にストックオプションを発行するといった方法を用いることで、キャッシュフローが改善できるのではないかとした。

 すでに合併交渉が進んでおり、プロ野球界では1リーグ化への動きが進んでいると言われる中で、なぜ買収交渉という話を持ちかけたのかという質問については、「こうした縮小均衡に向かっている動きに対して一石を投じたい」(堀江氏)として、「プロ野球球団を買いたいと思っている会社はたくさんあり、もともと近鉄も売却先を探していたが、“球団経営にはふさわしくない会社である”といったよくわからない理由で断られるといったケースもあったと聞く。こうした動きは新規参入の阻害ではないかと考えており、球界に強い力を持っているキーマンなどに対してもアポイントを取り、買収に向けて説得したいと思っている。あえて買収という話を持ち出したのは覚悟の上の行動であり、これからの球界の発展のためにもできる限りのことをしていきたい」と述べた。また、バファローズファンに対しては、「我々がお手伝いできることになった時には、私のできるだけの力を持って、バファローズを日本を代表する球団にしていきたい」と語った。


関連情報

URL
  ライブドア
  http://www.livedoor.com/


( 三柳英樹 )
2004/06/30 20:43

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