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総務省、免許不要局からの利用料徴収案を含む電波有効利用の報告書案


 総務省は、「電波有効利用政策研究会最終報告書(案)」に関する意見募集を実施した。本報告書では電波利用料制度の見直しが検討されており、無線LANなど免許を必要としない無線局からの利用料徴収も提案されている。

 電波の有効利用については、同研究会が提出した累次報告書にもとづき、電波再配分実施のための給付金制度導入や、電波登録制度の一部導入といった電波開放戦略を実現するための電波法改正が2004年5月の通常国会で成立している。同研究会では「更なる電波の有効利用推進と同時に、電波利用料負担の公平性を確保する観点から、免許不要局や地方公共団体の減免措置についても見直すべき」との意見を踏まえ、料額の算定方法について見直しを図っている。

 欧米諸外国では、電波使用料徴収に際してオークション制度が導入されている。同研究会では欧州などで実施された第三世代携帯電話のオークションを例に挙げ、「電波利用料を携帯電話事業者から徴収して国債償還のための費用に充てたため、サービス遅延や人口カバー率低下などIT産業の衰退が生じたほか、電波利用の既得権益が進んだために将来の電波再配分に影響を及ぼすおそれがある」として、欧米型オークション制度は導入しないことを前提としている。

 電波利用料の算定については、従来から採用されている無線局数で均等に割る方式のほか、新たな使用料導入の際には「土地の価格が異なるのと同様に、電波の経済価値を勘案した算定方式が適当」であるという。そのため、電波の逼迫地域や使用する帯域幅なども検討すべきとしている。


免許不要局からの利用料徴収は慎重な検討が必要

 本報告書では、現在利用料徴収の対象ではない免許不要局からの利用料徴収案も提案されている。ただし、この案については自由な電波利用環境を維持する観点から現行通り非徴収にすべきという見解もある。

 このため、同研究会では免許不要の小電力無線システムについて、周波数割り当てにおける電波占有の有無や程度を勘案、一定の周波数帯域幅を占有する「帯域占有型」、ISMバンドのように帯域幅を占有しない「帯域非占有型」の2つに分類して検討している。このうち帯域占有型については、「電波利用料負担の公平性」「電波監視などの利益を受けている」といった観点から、使用量の負担を求めることが適当との見解がなされている。

 ただし、帯域占有型からの利用料徴収が適当とする立場からも「すでに開設されている免許不要局との公平性が必要」「使用料徴収を逼迫地域と非逼迫地域で区別するのは困難」といった意見が挙げられているほか、制度上は徴収を原則としつつ、IT振興やコストの観点から政策的配慮や特例措置を設けるといった検討も必要だという意見も述べられている。

 同研究会では免許不要局からの利用料徴収の適否、徴収する場合の徴収方法や政策的配慮について、同研究会の見解を広く公表したのち、改めて意見を図る方針。なお、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は免許不要局からの利用料徴収案について反対の姿勢をすでに表明している。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040722_1.html

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JEITA、無線LANなど免許不要局からの利用料徴収案に反対の意見を表明(2004/07/21)


( 甲斐祐樹 )
2004/07/22 19:34

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