ネットで赤ペン添削、ベネッセが小学生向けのEラーニング事業に参入

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ネットで赤ペン添削、ベネッセが小学生向けのEラーニング事業に参入

e-ボイス添削による解答用紙の添削例

　ベネッセコーポレーションは6日、中学受験層にあたる小学3～6年生を対象とした「ベネッセ e-受験サービス」を9月に開始すると発表した。主に中・高一貫校の受験生を対象に、テレビ会議システムやFlashを活用した対面学習指導や講義のストリーミング、進学相談などのEラーニングサービスを提供する。

　e-受験サービスで提供するのは、「e-個別」「e-ボイス添削」「e-講義チャンネル」「e-カウンセラー」の4つのサービス。e-個別では、生徒と先生のPCをインターネット経由で接続し、独自のテレビ会議システムを使って1対1の対面学習指導を行なう。表示されるホワイトボード上にはFlashを駆使した教材が表示され、生徒や講師がペンタブレットで文字や図を書き込みながら学習が進められる。教科は主に算数と国語で、基本的に24時間対応する。

　e-ボイス添削は、中学入試の過去問題を添削指導するもの。生徒はまず、e-受験サービスのサーバーから問題用紙をダウンロードし、これに解答を記入してFAXでベネッセに返信する。すると、24時間以内に添削されて、その結果がサーバーにアップロードされる。生徒がこれにアクセスすることで、添削結果を確認できる仕組みだ。サービスの名称通り、添削結果には音声による先生の解説が収録されているのが特徴で、それにシンクロする形で赤ペンなどで添削された図が書き込まれる過程も再現される。再生速度も調整可能となっており、わからないポイントをゆっくり繰り返し閲覧できるようになっている。

　e-講義チャンネルでは、過去問題対策や時事問題、理科の実験などに関する1回10～15分程度の講義をオンデマンドでストリーム配信する。単に映像を流すだけでなく、気になる部分に生徒が“しおり”を挟んだり、わからないポイントを質問できる双方向機能を備えている。e-カウンセラーでは、志望校に応じた学習戦略やメンタルケアなど、保護者の進学相談にテレビ会議システムで応じる。

　料金は、個別指導が1時間あたり4,500円～15,000円、添削指導が1回2,500円で、受講回数をあらかじめ4～6回分セットにした月額メニューを設定する予定だ。Windows 98SE以降のPCと1.5Mbps以上のインターネット回線に対応し、ヘッドセットマイクとWebカメラ、ペンタブレットが必要となる。


e-個別のテレビ会議システム画面	e-カウンセラーのテレビ会議システム画面

　ベネッセ e-受験サービス開発部の奈良隆志部長によると、首都圏における中学受験者数は2004年度には48,000人に達すると推定され、すべての小学6年生のうち15％以上が中学を受験することになるという。また、中学受験を経験した子供の保護者200名を対象に同社が2月に実施した調査によると、受験対策として小学6年の1年間で実際に支払った教育費の平均は80万円だった。さらに、あと30万円は教育費につぎ込むことが可能だったとの結果が出ており、同社では、中学受験に効果のあるサービスや教材であれば保護者からの投資は積極的に行なわれると指摘する。

　一方で、中学受験市場においては高い指導力やノウハウを持つ塾や人材には限りがあるほか、学習塾などの既存サービスでは学習方法が個々の子供にフィットしない、帰宅時間が遅いなどの不満が大きかったという。

　そこでベネッセは、同社調査の結果から、中学受験世帯ではブロードバンド率が88.5％と高い点に着目。「中・高一貫校を目指す家庭には、進んだIT環境がある」（奈良部長）として、同社がこれまでカバーしていなかった中学受験市場にEラーニング事業で参入することにした。小学生を対象としたEラーニングサービスとしてはこれまでも、テレビ会議システムを使った対面学習指導サービスを他社ですでに提供しているが、それに加えて授業のストリーミング配信やカウンセリングなども含め総合的に提供するサービスはe-受験サービスが国内初だとしている。

　ベネッセでは、まずは9月より首都圏の受験生を対象にサービスを開始し、順次、関西など他の地域に拡大。年内には海外に住む小学生にもサービスを提供する予定だとしており、2005年3月までに2,000人、2006年3月までに10,000人の有料会員獲得を目指す。なお、ベネッセではe-受験サービスの提供にあたり、中学受験のポータルサイト「Study-Station」も開設する。

関連情報

■URL
　ベネッセコーポレーション
　 http://www.benesse.co.jp/
　 Study-Station
　 http://www.benesse.co.jp/e/index.html

（永沢茂）
2004/08/06 18:22

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