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コンテンツ海外流通マーク事業開始、商標権で海賊版を取り締まり


「Contents Japan」の頭文字「CJ」をモチーフにした「コンテンツ海外流通マーク」
 コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は2日、国内コンテンツの海賊版を取り締まるため、「コンテンツ海外流通マーク」事業を開始すると発表した。中国や韓国、台湾、米国、EU諸国に出願。来春以降の認可が見込まれており、認可され次第各国で運用を開始する。

 コンテンツ海外流通マーク事業は、正規のコンテンツにCODAが制定したマークを貼付し、マークを偽造した海賊版を商標権侵害などで取り締まるという事業。これまでは、海賊版の取り締まりに著作権に基づく権利行使が用いられていたが、著作権の行使にあたっては現地への鑑定人派遣や、実態の証明といった必要があるため、迅速な取り締まりには結びつかなかった。そこで、CODAではコンテンツ海外流通マークを制定。複数国に商標登録を出願し、商標権に基づく権利行使を行なうことにしたという。

 制定されたマークは、「Contents Japan」の頭文字「CJ」をモチーフにしたもので、音楽CDやゲームソフト、映画のDVD、書籍などに貼付する。デジタルコンテンツやテレビ番組など通信・放送に関わるコンテンツも貼付対象で、合計94種類の分野で商標権を出願したとしている。

 コンテンツ海外流通マークはCODAが主体となって管理。商標権侵犯に対しては新たに設立予定の別組織が、現地の執行機関に対して権利を執行し、海賊版取締りを働きかける。CODAでは、同機構会員企業や団体など各コンテンツホルダーに同マークをライセンス提供し、コンテンツホルダーは海外ライセンシーにマーク貼付を義務付ける。なお、マークのライセンス料は当面無料だ。

 CODAの角川歴彦代表は、「近年、国内コンテンツへの関心は国境を越えたものになっているが、多数の海賊版がアジア各国の市場で流通している」と現状の問題を指摘。「商標権を使うことなかなかのアイデアだ」とコメントした。また、商標権侵害の摘発は、著作権の場合ほど複雑でないため、「“にせものだ”と言えば動いてくれる」(児玉昭義企画委員長)という。

 児玉氏によれば、中国における海賊版の流通はコンテンツ全体84%を占めるという。「アジア、東欧、南米は世界有数の“海賊版天国”」だと指摘する一方、「日本でも海賊版の流通が50%を超える時代もあった。現在ではレンタルビデオショップ100店回って4店舗程度でしか海賊版を見つけることができない。こうした改善は、啓蒙・教育の成果だ」と各国での教育の必要性を強調した。

 CODAでは、今回の対策について「海賊版を撲滅するための最終的な手段ではなく、まずは第一歩」と強調。今後は、マーク自身の複製を防ぐ技術なども導入するとしている。


「多数の海賊版がアジア各国の市場で流通している」と角川歴彦代表 各国での啓蒙・教育を強調する児玉昭義企画委員長

関連情報

URL
  「コンテンツ海外流通促進機構」設立総会開催について(経済産業省 報道資料)
  http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0003017/


( 鷹木 創 )
2004/09/02 18:55

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