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ウイルス「Netsky」の作者がセキュリティ企業へ就職、波紋を呼ぶ


 ウイルス「Netsky」と「Sasser」の作者であるSven Jaschan氏(18歳)が、ドイツ北部にあるSecurepoint社に採用されたことが先週末に明らかになった。ウイルスを作成した人物がセキュリティ企業に雇用されることが許されるのかどうかという点から波紋を広げている。

 Jaschan氏はNetskyの30種類の亜種とSasserの4種類の亜種の作者で、2004年5月、Microsoftの懸賞金プログラムに寄せられた情報がきっかけで当局に逮捕された。一方、Securepointはファイアウォールなどのセキュリティ製品を開発している企業。英Sophosの問い合わせに対して、Jaschan氏は現在、セキュリティソフトウェアプログラマーとしての訓練を受けていると回答したという。

 この件について、フィンランドのセキュリティ企業であるF-Secureの公式ブログには、厳しいながらもJaschan氏の場合に限った“特異性”について触れたコメントが掲載された。「F-Secureは彼を雇うことはない」が、Jaschan氏がチャンスを与えられる必要があるとの一般的な見解を提示した上で、「我々はJaschan氏が悪いことをしたという認識は当然持つべきだが、彼はそれほどまでに悪くはなかった。彼は明らかに自分自身をロビンフッドのような存在として考えており、スパム業者と協力して働くプロのウイルスライターによって作成されたウイルスを攻撃するウイルスを書いていた。しかし、もちろんのこと彼のウイルスが多大な損害を引き起こしたこともまた事実である」とコメントしている。

 これに対して、同じセキュリティ業界にあっても英Sophosの見解はまったく異なっている。Sophosの上級テクノロジーコンサルタントであるGraham Cluley氏は、「ウイルスやワームを書く行為がクールであり、就職につながるなどという間違ったメッセージを、セキュリティコミュニティから送らないことが極めて重要なことである」とした上で、「Jaschan氏が書いたとされるウイルスは意図的に悪意があるもので、コンピュータ資源を盗み、なんの罪もないWebサイトをネットからはじき出したことに疑いの余地はない。(Jaschan氏を採用した)このファイアウォールセキュリティ企業の顧客は、間違いなく彼の雇用についての適切な説明を求めることだろう。そして彼のウイルスによって金銭を失った人たちも当然、いつになったらその補償が得られるのか考えることだろう」とコメントした。


関連情報

URL
  F-Secureの公式ブログ(英文)
  http://www.f-secure.com/weblog
  英Sophosのコメント(英文)
  http://www.sophos.com/virusinfo/articles/jaschanjob.html

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/09/21 13:16

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