Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

東京三菱銀行、手のひら静脈認証に対応したキャッシュカード

~FeliCaチップ搭載携帯電話対応ATMも導入

スーパーICカード「東京三菱-VISA」

対応ATM。液晶画面の右には、手のひらをかざす読み取り装置が設置されている
 三菱東京フィナンシャル・グループは、東京三菱銀行で電子マネーや手のひら静脈認証などに対応したキャッシュカード「スーパーICカード『東京三菱-VISA』」の取り扱いを10月12日から開始すると発表した。当初は年会費10,500円のカード種別「ゴールドプレミアム」のみ発行。来春以降に「ゴールド」「一般」といった種別も追加する。対応する窓口やATMのみで利用可能。対応ATMは取り扱い開始までに全国有人店舗に設置され、無人店舗でも2004年末までに対応する予定だという。

 スーパーICカード「東京三菱-VISA」は、キャッシュカード機能のほかに、電子マネー「Edy」やVISAによるクレジットカード機能、手のひらの静脈で認証するバイオメトリクス認証機能を搭載した多機能ICカード。搭載されたICはソニー製の「RC-S952/1MV J」で、Triple DESやRSA(512~1,024ビット)などの暗号化機能をサポートした。メインROMの容量は134KBで、別途ユーザー利用領域としてEEPROM32KBを搭載。接触通信ではJava Card 2.1.1とVisa Global Platform 2.0.1のクロスアクセスに、非接触通信ではFeliCa OS 3.1にそれぞれ対応する。

 手のひら静脈認証機能については、富士通や富士通フロンテック、大日本印刷が共同開発したアプレットをICカードに搭載した。手のひら静脈認証を希望する利用者は、銀行窓口でICカードのメモリに身体情報を登録。対応したATMなどで手のひらをかざすことで、ICカードに登録した身体情報と照合して本人確認を行ない、暗証番号を入力して取引可能になる。なお、生体検知を行なっており、血流のない死亡者や人工の手のひら静脈には反応しない。また、身体情報を登録した利用者には、盗難・偽造による預金被害に対する最高1億円の補償機能も提供される。

 虹彩認証や指紋認証などのバイオメトリクス認証技術のうち、手のひら静脈認証を選択した経緯について東京三菱銀行では、「(同行の利用者)約1,000名を対象にしたアンケート調査や、都内8店舗でのデモンストレーションによる実地調査約1,000件の結果、手のひら静脈認証が90%近い支持を得た」と説明。「最終的には、知名度の高い指紋認証と競うことになったが、指紋を押す行為には、犯罪捜査における指紋押捺などの“負のイメージ”があった」という。

 なお、認証精度については、「サンプル数が少ないので本人認識率、他人拒否率とも正確な数字は不明」と前置きした上で、「現時点での社内実験では、カード保有者本人の認識にエラーが発生することはあっても、他人を本人と認識してしまう誤認識は発生していない」としている。また、手のひら静脈認証を行なった上で、暗証番号を入力させる“手間”については、「(手のひら静脈認証は)まだ一般的ではないので、安心感を優先させた。普及し、利用者の意識が変化すれば、暗証番号の入力を省略することも考えている」とした。


ICカードをATMに挿入し、手のひらをかざして認証する 認証成功した場合。他人だともちろん認証できない

 東京三菱銀行によれば、今回のICカード導入は、キャッシュカードのセキュリティ強化に向けての取り組みの一環だという。この取り組みではICカード導入のほかに、iモードFeliCaなどFeliCaチップ搭載端末をキャッシュカードやクレジットカードとして利用できるATMも2005年秋をめどに投入する予定。現在、同行行員を対象にFeliCa対応ATMの試験運用をしており、2004年11月には東京・丸の内にて協力各社の従業員を対象に試験サービスを開始するとしている。


FeliCaチップ搭載端末に対応したATM FeliCaチップ対応端末を左の読み取り部分にかざすと認証できる

関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.mtfg.co.jp/news_release/2004/pdf/040922.pdf
  東京三菱銀行
  http://www.btm.co.jp/


( 鷹木 創 )
2004/09/27 13:42

- ページの先頭へ-

INTERNET Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.