ソフトバンクは18日、福岡ダイエーホークスの買収意向表明に関する記者会見を開催した。会見ではソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏が、買収意向表明に至る経緯や今後の方針などを説明した。
● 福岡で球団を持つために2年前から水面下で交渉
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ソフトバンクの孫正義代表取締役社長
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孫社長は今回の件について「2年前から福岡で球団を持ちたいと考えていた」とコメント。「同じ頃にオリックス・ブルーウェーブと球場に関するネーミングライツのご相談があり、Yahoo! BBスタジアムと名付けることで野球と若干関わりを持った」とした上で、「当時から球団を直接保有することが具体的なターゲットだった」と説明。「楽天やライブドアといった元気な企業が新球団設立のために活動しているが、それを見て追いかけたのではなく、それよりはるか前から球団保有に対する熱い気持ちを持っていた」と語った。
福岡ダイエーホークスについては、球場とホテルの売却構想が出た2002年から関係先と密かに交渉を行なっていたという。孫社長は「ダイエーは球団の継続保有を強く希望しておられるので、直接名乗りをあげるとご迷惑をかけることになる」との考えから非公式に交渉を進めていたと説明。1週間前にダイエーが産業再生機構入りすることが確定したことをきっかけとして正式に買収の意向を表明したが、「今日が初めての外部とのコンタクトであって、ダイエーの了承があるという話ではない」と断りを入れた。
このため、ダイエーの買収についてソフトバンクは確定的な立場にないが、孫社長は「来シーズンに向けてドラフト会議や年棒折衝もまもなく始まり、原則論としては11月末までにオーナーが決まらないとシーズンを迎えられない」とコメント。「今日より遅れてはシーズンに間に合わない。これより早ければダイエーに迷惑がかかるだろう」とし、「今日の発表がベストのタイミングと考えている」と語った。
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「ボールパークに夢を託して」と題した孫社長のプレゼン資料
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買収交渉は2年前から進めていた
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● 佐賀県出身で福岡育ちの野球小僧だった孫社長
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九州で生まれ育った孫社長
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孫社長は続いて球団買収の表明に至った経緯を説明。「自分は佐賀県鳥栖市の生まれであり、高校1年の時にアメリカへ留学するまでは福岡で過ごした」と自分の経歴を語った上で、「子供の頃から野球が大好きで、打順は3番、守備位置は三塁手だった。夜が明けたばかりの薄暗いグラウンドで練習したり、鉄下駄を履いて家の周りを走り回っていた」と説明。また、ソフトバンクの創業も福岡県内であり、福岡に対する熱意を強調した。
最近では野球はなかなかできないものの、今でもスポーツは大好きであり、ゴルフはハンデ2の腕前であるという。孫社長は「ビジネスというだけではなく、スポーツを愛する気持ちで夢のある球団にしていきたい」との意欲を示した。
孫社長は福岡ダイエーホークスの監督を務める王監督についても言及。「ホークスを何度となく優勝に導くなど指揮官としても実力を発揮しており、人物としても尊敬できる。もし我々がホークスを所有できるのであれば、王監督に続投して欲しい」との気持ちを明らかにした。
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3番サードだった野球小僧時代
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福岡はソフトバンク創業の地
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● 年俸が高いからリストラするといった縮小均衡はしない
球団の運営方針としては「年俸が高いからリストラを図るといった縮小均衡はしたくない」と考えているという。孫社長は「経費削減して利益を上げるのは当然だが、みんなに愛される球団であるためには、子供にとってのスーパースターが集まるところであるべき」とした上で、「ファンと選手の交流をインターネットで図る、グッズやチケットをインターネットで販売するなど、拡大均衡できる工夫の余地はいくらでもある」と語った。
選手獲得や年俸にコストをかけるというのは、高騰する選手の年俸を抑えようという球界の流れに反するのでは、との質問には「あくまでルールの中での話であって、健全な範囲で行なっていく」と回答。一方で「どんな世界でもサクセスストーリーはあってしかるべき。それを否定しては日本の宝のような選手が海外へ流れてしまうリスクもあるのでは」との危惧を語った。
将来的には、日本のNo.1チームと世界各国のチームNo.1が対戦するような試みも実現したいという。孫社長は「野球では事実上の世界チャンピオンシップが存在しない。ワールドシリーズも実際はアメリカだけで戦っている」と指摘、「野球協約にはこういった試みも謳われており、球界を作った人の熱い思いを受け継いでいきたい」と述べた。
● チーム名は未定も本拠地は福岡を継続
孫社長はソフトバンクグループについて「あくまで情報通信革命を行なうことが目的」とコメント。「野球はブロードバンドや新しい時代のメディアのコンテンツとしても重要であると考えている。ブロードバンドの力を使えばハイビジョン並みの映像をパソコンで生放送したり、録画した番組をオンデマンドに視聴することも可能。単に回線を提供するだけでなく、コンテンツも提供するというグループの戦略によるものだ」と語った。
収益については単体で黒字化を図るものではなく、ソフトバンクグループのブランド力向上に主眼を置いているという。孫社長は「Yahoo! BBの顧客獲得コストが年間1,000億円で、買収したばかりの日本テレコムでは年間数百億円。ブランド力の向上によって獲得効率が1割あがるだけで年間数百億円のコストダウンになる」と試算しており、「球団の赤字が10億か20億程度あるようだが、広告宣伝費と考えれば十分まかなえる。単体での採算という小さな視野ではなくトータルで考えていく」との姿勢を示した。
買収した場合のチーム名などは現在のところ未定で、これからファンや関係者の意見を踏まえて検討を進めていく。ただし、球団の本拠地を福岡で継続することは決定しているという。また、球場のネーミングライツについては「球団保有には含まれていると考えている」とコメント。現在ネーミングライツを持つYahoo! BBスタジアムについては「今期で契約期限を迎える。明確に買収の名乗りを上げたので、ホークスとオリックスの二股をかけるのはご迷惑をお掛けするのでは」としながらも、「期限はまだ残っており、Yahoo! BBスタジアムも神戸市民に愛されている。絶対にこうだと断定した訳ではなく、関係者と相談の上対応していく」と含みを持たせた。
● 手続きが長引いて買収できない場合は来期も交渉を継続
「今期中に買収できない場合はどうするのか」との質問には「明確に断られたのなら駄々をこねることはしないが、手続きが長引いただけならば情熱を継続して来期も進めていく」との姿勢を表明。「願わくば今期中に保有したい」との意向を補足した。
正式な買収表明を行なった本日から、産業再生機構や日本野球機構などと話し合いを進めていく予定。ホークスの中内オーナーが「何も聞いていない、迷惑な話だ」と発言したとの報道については「今日が正式な第1日目であり、不快な面があったかもしれないがあくまでダイエーを尊重する」とした上で、「ダイエーの高木社長にもアポイントを取ろうとご連絡したが、ご自身が辞任されるとの報道があるために直接会うのはご遠慮したいとの返事だった」と語った。
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■URL
ソフトバンク
http://www.softbank.co.jp/
( 甲斐祐樹 )
2004/10/18 11:13
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