WIDE Project(代表:慶應大学 村井純教授)と東京大学データレゼボワール/GRAPE-DRプロジェクト(代表:東京大学大学院 平木敬教授)は、米国、カナダ、オランダ、スイスの研究者と共同で、日本からスイスのCERN研究所まで、全長18,500kmの10ギガビットイーサネット回線で接続したと発表。10ギガビットイーサネットを使った世界最長のネットワークとなる。
10ギガビットイーサネットのWAN向けの仕様である「WAN PHY」技術を用いて、東京大学に設置されたデータレゼボワールシステムからCERN研究所に設置されたデータレゼボワールシステム間を接続、データ伝送を確認した。レゼボワールシステムは遠距離超高速ファイル転送システムとも呼ばれ、理学研究の観測・実験などで生成される巨大なデータを超高速ネットワークを用い、広域間でデータ共有を可能とする基盤システムを指す。
今回の実験では、データレゼボワールシステムに9台のXeonサーバーをそれぞれ使用することにより、9Gbpsのディスク間転送を達成した。「WAN PHY」の最大データ伝送速度は、9.2942Gbpsとされており、ほぼ理論値上限に近い転送速度を実現したことになる。なお、WIDE Projectによれば、国際的なディスク間転送においては、9Gbpsを達成したのは初めてだという。
東京大学からWIDE Projectが運用する相互接続ポイントT-LEXまで接続、T-LEX から米国シアトルまではTyco TelecommunicationがIEEAFに寄贈した回線が用いられた。シアトルからシカゴまでの回線はカナダの大規模研究ネットワーク「CA*net4」が専用に用意したラムダネットワーク(光多重通信の波長をラムダと呼ぶが、この波長の1つを占有する接続回線)により、米国の大規模研究ネットワーク「StarLight」に接続した。
StarLightからは、オランダの大規模ネットワーク「SURFnet」が提供するシカゴ─アムステルダム間のラムダネットワークにより、アムステルダムのネットワーク「NetherLight」に接続。NegherLightとCERN研究所の間は、SURFnetのアムステルダム─ジュネーブのラムダネットワークによって接続した。
今回構築された10ギガビットイーサネット・ネットワークは、東京大学のデータレゼボワール/GRAPE-DRプロジェクトにより、長距離高バンド幅ネットワークにおける大容量データのTCP通信の最適化研究やデータ共有システム研究に用いられる。
■URL
ニュースリリース(Grape-DR Project)
http://grape-dr.adm.s.u-tokyo.ac.jp/news.html
ニュースリリース(WIDE Project)
http://www.wide.ad.jp/news/press/20041020-10g-j.html
Grape-DR Project
http://grape-dr.adm.s.u-tokyo.ac.jp/
WIDE Project
http://www.wide.ad.jp/index-j.html
( 工藤ひろえ )
2004/10/20 17:40
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