「なにこれ!?」「キャー、キモーい」――擬似的なウイルスによって、画像で埋め尽くされたデスクトップに生徒たちの声が飛び交う。マイクロソフトが15日、東京千代田区にある私立嘉悦女子高等学校で行なった公開授業「情報セキュリティって何?」のひとコマだ。講師はマイクロソフトセキュリティレスポンスチームの奥天陽司セキュリティレスポンスマネージャが務めた。
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講師を務めたマイクロソフトセキュリティレスポンスチームの奥天陽司氏
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公開授業の風景
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● ソーシャルエンジニアリングやウイルス被害をデモンストレーション
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操作手順を教える奥天氏
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擬似的なウイルスによって、画像で埋め尽くされたデスクトップ
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今回の授業は、文部科学省と経済産業省の共同管轄下にある財団法人コンピュータ教育開発センターが採択した2004年度産業協力情報授業の一環となるもの。マイクロソフトが独自のテキストや擬似ウイルスなどの教材を用意した。
社会人を対象にしたセキュリティ関連のセミナーではおなじみの奥天氏も「女子高校生相手は初めて」と、慣れない“先生”役に当初は緊張した面持ちで、まずインターネットの成り立ちなどを説明。Webサイトの閲覧だけでなく、メールやネットゲームなどもインターネット上で行なわれ、今や社会的なインフラとしてインターネットが機能していることを解説した。
続いて、ウイルスやフィッシング詐欺などのインターネット上の危険性に言及し、ハッキングの手法や擬似的なウイルスによる感染状況をデモンストレーションした。デモでは、まず奥天氏が生徒たちに指定したフォルダを開くよう指示。フォルダを開いて、その中にあるファイルを開こうとするとフォルダ内のファイルが全部消されてしまうという内容で、奥天氏は「これはソーシャルエンジニアリングの一例。例えば先生や友人など信頼できる人から騙されることもある」と解説した。
さらに、擬似的なウイルスを添付したメールを生徒たちのPCに配信。こちらのウイルスを起動すると記事冒頭のように画像がデスクトップを覆った。また、金融機関を騙ったフィッシングメールもデモンストレーションし、メールに記載されたURLからWebサイトにアクセスさせて、IDやパスワードを入力促す手口を紹介した。
奥天氏は授業の終わりに、「すでにライフラインとなったインターネット上での犯罪は増え続けている。犯罪の手口は大きく分けて、ユーザーの心の隙を狙うものと、コンピュータの脆弱性を狙うものの2種類だ」とし、生徒たちに警戒を呼びかけた。なお、今回の授業は「1時限目」で、17日にはインターネット上の犯罪被害防止をテーマに「2時限目」を実施する予定だ。
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マイクロソフトが独自に作成したというテキスト
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公開授業は高校2年生の28人学級を対象に実施
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● あやふやな知識もあったが、授業を受けてハッキリした
授業を受けた嘉悦女子高校2年生には、普段からインターネットに親しむ生徒も少なくない。「変なメールの添付ファイルは開かない」「怪しいサイトにはアクセスしない」といった基礎知識に加えて、Windows Updateやウイルス対策ソフトの存在も知っていた生徒もいた。しかし、「今まではあやふやな知識も多く、授業を受けてハッキリした」と語る生徒もおり、早くも授業の成果が現われた格好だ。
嘉悦女子高校側で授業を担当した中山忠教諭は、「通常の授業でも基本的なセキュリティ関連の内容は扱っているが、生徒たちにとってはインターネットを対象にした情報セキュリティというと難しい。実際にウイルスの感染状況などの被害を眼で見ることが大事だ」とコメント。また、「ウイルス感染を再現したり、システムを復元したりすることは、素人の教員が行なうと時間がかかってしまう」とし、マイクロソフトによる授業を「大変勉強になった」と評価した。
マイクロソフトの来年以降の取り組みに関しては未定だが、同社の東貴彦執行役最高セキュリティ責任者は「テキストや擬似ウイルスなどのコンテンツを提供することは考えている」という。
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嘉悦女子高校側で授業を担当した中山忠教諭
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マイクロソフトの東貴彦執行役最高セキュリティ責任者
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関連情報
■URL
マイクロソフト
http://www.microsoft.com/japan/
嘉悦学園
http://www.fujimi.kaetsu.ac.jp/
財団法人コンピュータ教育開発センター
http://www.cec.or.jp/CEC/
( 鷹木 創 )
2004/11/15 17:35
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