参議院は26日、民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案を全会一致で可決した。同改正案は衆議院では11月4日に可決されており、参議院の可決により成立した。改正案では、民事訴訟の裁判所への申立て管轄の合意や督促手続などを、オンライン手続で受け付け可能にする制度を整備する改正も盛り込まれた。申立ての対象範囲については、最高裁が最高裁規則によって決定する予定となっている。
従来、裁判所では原則として書面による手続が義務となっていた。訴訟などでは裁判所以外に様々な当事者が関与することから、インターネットが普及した現在でもなかなか手続をオンライン化することは難しい。しかし、一定の手続については裁判所との関係だけで済むことから、将来のオンライン化手続を想定して可能なものからオンライン化を始めることになっている。今回の改正では、最初の段階として導入可能な申立てや管轄の合意、督促手続などからオンライン化を始める。
改正の中で注目されたのは、一般に「到達主義」とされている裁判上の手続がオンライン手続の導入によってどう解釈されるかだ。一定の裁判上の手続には期限が定められることになるが、従来は裁判所が「受け取った」日時が締め切りに間に合ったかどうかの基準となっており、到達主義と称されていた。今回の改正では、電子データが裁判所の使用するコンピュータ中のファイルに記録された時に、当該裁判所に対して到達したものとみなす規定が設けられた。
また、署名押印などが義務づけられている手続については、氏名または名称を明らかにする措置をもって署名押印などの代わりとする規定が設けられた。
関連情報
■URL
民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案
http://www.moj.go.jp/HOUAN/MINSOHO3/refer02.html
改正に関する要綱
http://www.moj.go.jp/SHINGI/040210-5-1.html
議案審議情報
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/16103159077.htm
( Gana Hiyoshi )
2004/11/29 15:06
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