2010年の企業活動におけるITの位置づけについて企業の経営者約4,000人を対象に行なった意識調査で、今後5年間でビジネスモデルが劇的に変化するとの意識があるものの、民間企業と公的組織ではその対策として必要だと考えるに要素に違いがあることがわかった。民間企業では「人材の確保」が最重要であるとしたのに対して、公的組織は「(既存の)人材の(IT技術への)適合」が重要であると考える傾向にあった。
この調査は、独SAPがスポンサーとなり、Economist Intelligence Unitによって2004年11月から2005年1月にかけて行なわれたもの。企業経営に関わる23カ国/20分野の4,018人を対象に実施した、数十にわたる質問項目の回答がまとめられている。
調査によると、ビジネスの成功の要素として、まず「スピード」が重要で、変化に付いていかなければ生き残れないとの認識があることがあらためて浮き彫りにされた。これは技術革新もさることながら、新市場の登場(例えば中国、インドなど)により収益構造も変わることも含まれる。いかに迅速に対応できるかが問題となるとしている。
また、顧客を知ることが今後はより重要になるという。双方向のビジネスモデルが重要になるにつれ、企業間の競争ではいかに顧客の立場になって考えることができるか、いかにニーズを先取りするかが重要になり、これらの点はIT技術の進展により加速度的に重要度が増すとの認識だった。
さらに、現状の戦力をもって最大限の努力をすべきとの考えを持っている回答者が60%に達した。人材難はIT業界では深刻だが、これらに対処するには現状の戦力を十分に活用することが必要であるとの認識である。その中では、ITの変化に対する柔軟性や開放性、協調性が重要になるという。
調査結果を総合すると、民間企業の経営者は、ビジネスにおけるITでは知的財産の確保も含めて「人材の確保・維持」が重要で、特に現状で保有している人材をいかに維持し続けるかが今後も重要になるとしている。一方、公的組織でも同様の意識はあるものの、現状の人材をいかににITに適応させるかが課題であるとした回答者が圧倒的に多かったという。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.eiu.com/site_info.asp?info_name=eiu_SAP_business2010
( Gana Hiyoshi )
2005/03/09 17:53
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