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米Microsoft、特許システムの改革を提言~審査能力の向上など要望


 米Microsoftは、上級副社長のBrad Smith氏の談話として米国特許システムの改革が必要であるとの提言を発表した。Smith氏は、知的財産権関連の記事を専門誌に多数寄稿をしていることでも知られている。

 提言に内容は大きく4つあり、1)特許出願の量が増える中、質の充実、2)過剰な訴訟・訴訟の濫用の防止、3)特許法の国際調和の促進、4)個人・中小企業に対する環境整備という点での改革が急務であるとの見解が示された。

 特許出願は、最近では1年間に35万件出願されるようになり、質の悪い特許が成立する傾向が強くなったと指摘。その対策として、特許商標庁自身の審査能力の向上のほか、第三者の目を活用することを提言。現在、法体系上、裁判所で特許の有効性が争われることになっているシステムを改革して、日欧であるような「情報提供システム」や、欧州のような「異議申立制度」を導入すべきとの見解が示された。また、「ビジネスモデル」特許については、自明な発明がどんどん特許にされていることを懸念し、審査環境の向上を提言した。

 訴訟環境の整備としては、地裁レベルで「知的財産権」を統括して審判する裁判所を設置することを提言。現在は、CAFC(連邦巡回控訴裁判所)など高等裁判所レベルでの統一が図られるのみである裁判システムを変革し、より専門性の増した特許地裁を設置し、裁判が「濫用」されることを防止すべきとの見解が示された。

 さらに、米国が世界標準から逸脱した特許システムを維持していること自体が障壁になっていると指摘。特に、米国のみが採用する「先発明主義」は、すぐさま「先願主義」に移行すべきとの見解が示されていることは注目に値する。先発明主義は、どちらが先に発明したかの立証が困難で不明確なシステムであることを指摘し、効率の問題から先願主義へ早期に移行すべきとの見解が示された。また、特許出願の18カ月での公開システムの例外を完全撤廃すべきとの考えも示された。公開システムは、米国の法改正によって5年前に一部導入されたが、完全導入されておらず、「サブマリン」特許が出現する可能性が消えたわけではない。

 個人・中小企業への環境整備としては、コストの免除が挙げられた。すでに、個人・中小企業は、特許出願の費用が一部減免されているが、現状では不十分で、思い切って、「無料」にでもしなければ、今後の特許システムの発展はないとの考えを示した。


関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.microsoft.com/presspass/features/2005/mar05/03-10PatentReform.asp


( Gana Hiyoshi )
2005/03/14 14:03

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