総務省は、4月19日に開催された「全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会」第7回会合の資料を公開した。同会合では、今後の国としてのブロードバンド環境の整備目標や、全国的な推進方策などが協議された。
会合では、2010年までに国民の100%がブロードバンドを利用可能とし、ブロードバンドにおいて日本が世界を先導することの実現を前提条件に、2010年における目標達成時点でのインフラ整備状況を「次世代ブロードバンド整備の青写真」として想定している。
この想定では、2008年までにブロードバンドサービスが利用できない空白地域、いわゆる「ブロードバンド・ゼロ地域」となる市町村の解消が目標として掲げられた。さらに2010年では、各市町村における空白地域を解消し、通信速度も下り100Mbps、上り30Mbps以上で双方向にブロードバンド通信が可能な環境を90%以上の世帯で実現とするとしている。
また、多様かつ利用率の高いインフラとして、10Mbps~50Mbpsの安定的な提供、光ファイバを中心としたブロードバンドインフラ整備と普及推進、FTTHのギガビット化などが提唱されている。そのほか、ユーザーが安全かつ安心に利用できるインフラであることを条件とし、高品質かつセキュリティを重視、さらに災害に強く耐障害性が強化されたインフラであることが必要としている。これらを実現することで、現在のデジタルデバイド地域において、雇用支援や医療・福祉、教育・学習、行政サービスなどの充実化を図ることが可能としている。
会合ではまた、デジタルデバイド地域における、ブロードバンド環境の導入に際しての問題と支援についても協議された。デジタルデバイド地域では、需要密度が低く市場規模が小さいという問題があり、初期投資の支援や必要。適切な場合の公設民営による整備を推進し、小規模回線収容型のADSL装置の採用などを対策としている。このほか、投資効率の悪さや、設備や人材の不足やコストの問題などが取り上げられており、需要喚起の徹底や設置・運用費用の支援、ベンチャー企業への支援やNPOの活動促進で対応するとしている。
一方で、整備状況や採算度合については、ADSLでは、収容局からの距離や採算性などから過疎地域に属する町村では今後も整備が進みにくい。FTTHでは、面積の大きな市町村では整備されにくい傾向が見られるほか、域内世帯の100%が利用できる地域は需要密度の高い市町村に偏っており、今後も一部の地域のみがカバーエリアとなる市町村が相当程度残ると予測している。また、「次世代ブロードバンド整備の青写真」で想定されたブロードバンドインフラの整備を推進する一方で、民間事業者に多額の投資を要するものと考えられるとし、国としても財政・税制上等可能な限りの支援措置を講ずることが必要であるとしている。
関連情報
■URL
全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/bb_seibi/index.html
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・ 総務省、「ブロードバンド・ゼロ地域 脱出計画」の指針案を公表(2004/12/20)
・ FTTHより地域差解消~「ブロードバンド・ゼロ地域 脱出計画」の中間報告(2005/02/01)
( 大久保有規彦 )
2005/04/21 13:54
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