Symbian OS搭載の携帯電話を狙ったトロイの木馬型ウイルスの新種が、一挙に52種も見つかった。Symbianプラットフォーム向けのウイルス対策製品を手がけるニュージーランドのSimWorksが20日に報告したほか、フィンランドのF-Secureでも21日になって存在を確認したことを明らかにした。
SimWorksによると、このウイルスは「BitStorm」「BugMe!」「Cosmic Fighter」「3D Motoracer」「SplashID」などの人気アプリケーションの海賊版プログラムとして流通しており、それらのインストールプログラムに「Cabir」や「Locknut」といった既知のウイルスが含まれている。これらはすべて、Symbian OS 6.1以降を採用したNokia 3650/6600/6630などのSeries 60プラットフォーム端末をターゲットにしている。Symbian OSのユーザーインターフェイス「UIQ」をベースにしたSony Ericsson P900/910やMotorola A925/1000などは影響を受けないという。
一方、F-Secureは同社の公式ブログにおいて、これらのウイルスのサンプルを入手・検証した結果、「Skulls.D」をベースにした亜種と思われると報告した。52種はいずれも似通っており、インターネットから入手した海賊版プログラムに悪意あるSISファイルを仕掛けることによって作成されているという。細工が施されたアプリケーションの種類は多いものの、最終的にはは2~3種類のウイルスに分類されると見込んでいる。
SimWorksでは20日時点で、今回見つかった52種のウイルスの感染報告は受けていないとしている。F-Secureでも同様で、今後も感染を拡大しそうにはないと見ているほか、「学術的な観点からは興味深いが、実際にはユーザーへの脅威にはならない」と述べている。
とはいえ、SimWorksのAaron Davidson CEOは「従来の携帯電話ウイルスは、感染能力はあっても実害はないものか、深刻な被害をもたらすものの感染能力は低いもののいずれかだった。今回のように膨大な種類のウイルスを作成するという行為は、効率よく感染する破壊的なウイルスを作成できないことに対する、ウイルス作者の反動かもしれない。種類を増やすことによって、それらがダウンロードされてインストールされる確率が上がるのは明白だ」と述べている。見知らぬ人からのファイルを受け入れたり、海賊版サイトから身元不明のアプリケーションなどをダウンロードしないよう留意する必要がある。
関連情報
■URL
SimWorksのニュースリリース(英文、PDF)
http://www.simworks.biz/news/SimWorks_press_release_re_52_trojans.pdf
F-Secureの公式ブログ(英文)
http://www.f-secure.com/weblog/
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( 永沢 茂 )
2005/04/22 18:29
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