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2006年デジタルラジオ開始に向け、エフエム東京ら63社がフォーラム設立


 7日、「デジタルラジオニュービジネスフォーラム」が設立された。2006年に前倒しされた地上デジタルラジオ放送の開始に向け、受信端末や新サービスについて12月31日まで研究・開発を行なう。フォーラムには、エフエム東京やジャパンエフエムネットワークス、TBSラジオ&コミュニケーションズなどの放送事業者に加え、松下電器産業や日産、本田技研など現時点で63社が参加する。

 デジタルラジオは、現在アナログテレビが使用しているVHF帯の周波数を利用し、専用端末向けに高音質なデジタル音声放送や簡易動画放送、ネットワークと連携したサービスを提供する次世代ラジオ放送だ。


デジタルラジオは2006年に始まるが、受信端末は現在のところ販売されていない

エフエム東京の小針室長
 フォーラム呼び掛け人代表で、エフエム東京執行役員3セグデジタルラジオ推進室の小針俊郎室長は、「3セグ放送は2003年10月から実用化試験放送が開始されているが、一般ユーザー向けに受信機が販売されていない。多くのニューメディアに立ち会ってきたが、こうしたことはかつて一度もなかった」と現状のデジタルラジオを取り巻く環境を“異常な事態”と指摘。総務省がデジタルラジオの本放送開始を2011年から2006年に前倒したことを引用し、放送事業者だけでなくコンテンツプロバイダーや受信端末メーカーらが一堂に会するフォーラムの必要性を訴えた。

 これを受けてフォーラムでは、PC・PDA向け、携帯電話向け、車載機器向けにデジタルラジオ受信機や新サービスモデルの研究・開発を行なう。また、研究開発のための共同実験場所を提供したり、普及啓蒙活動も行なう。12月には実験結果の発表会も開催する予定だ。

 フォーラム総会の下には、情報交換部会と運用推進部会の2つの部会を設置。情報交換部会では情報交換会のほか、一般モニターを対象にした実証実験などを行なう。また、実験テーマごとにワーキンググループを設置し、ワーキンググループリーダーらによって運用推進部会が運営され、活動状況の報告など進捗管理を行なう。


フォーラムは12月末まで活動する 総会の下には情報交換部会と運用推進部会を設置

 なお、すでに「音楽ダウンロードWG」「放送連携データ配信WG」「プッシュ型コンテンツ配信WG」「車載向けコンテンツ配信WG」「POI情報WG」「気象情報サービスWG」「防災WG」「サービス開発支援WG」という8つのワーキンググループが提案されている。


音楽ダウンロードWGが目指すサービスイメージ 放送連携データ配信WGでは音声放送と動画の連携を目指す

フォーラム代表にはデジハリ杉山氏、特別顧問には村井教授

代表に就任したデジタルハリウッドの杉山氏
 7日に東京都内で開かれた設立総会では、代表や副代表、顧問、特別顧問などの役職も決定した。会長にはデジタルハリウッド大学・大学院の杉山知之学長、副代表にはタワーレコードの庄司明弘取締役副社長兼グループCOOが就任。顧問にはエフエム東京の園城博康常務取締役、特別顧問には慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授が就任した。

 杉山代表は「ラジオで音楽を聴いて、中学1年からオーディオマニア。大学は建築音響をCGで設計するということを研究していた。2年前からはデジタルラジオの番組審議委員も務めている」とラジオとの関わりを強調。「番組審議委員は10人程度なので、審議するのも空しいものがある。総務省の決定によって5年前倒しになるのはものすごいことだ」と普及に向けて期待感をにじませる。

 庄司副代表は「タワーレコードは世界中の音楽をお客様に紹介するというスタイルでビジネスしている。レコードやCDをただ売っているのでなく、ご紹介しているという認識だ。何か情報サービスを提供することでデジタルラジオの発展に貢献できるのではないか」と意気込みを示した。

 ビデオレターでコメントを伝えた村井教授は「技術的には無線を上手に使ったサービスに注目している。特にデジタルラジオは一部で実験放送が開始されており、インターネットとどのようなハーモニーを奏でるか楽しみだ。地上デジタル放送を実現した国はまだない。この挑戦は日本が一番面白い」と期待を示した。


副代表にはタワーレコードの庄司氏 特別顧問の村井教授はビデオレターで挨拶した

クールビズのスタイルで登場した総務省の南氏
 このほか、総務省情報通信政策局地上放送課の南俊之氏は「デジタルテレビでは携帯端末への配信も考えている。テレビのデジタル化を待って2011年にデジタルラジオを開始すると、ラジオの本来あるべきポジションを失いかねない」と指摘する。「英国では10年前からデジタル化を果たし、利益を増やしている。日本国内では若者のラジオ離れなどの問題があり、とにかく早くデジタル化することが重要だ」と述べた。

 総務省の方針では、2006年中に東京と大阪、2008年には札幌、仙台、名古屋、福岡など全国主要8都市でデジタルラジオ放送が開始されるが、2011年以前の民間免許主体は1放送事業者に限るという。「確実にデジタルラジオが提供できる放送事業者が名乗りを上げてほしい」と南氏。「2011年以降はテレビの地上波が空いた隙間にほかの事業者も参入可能になる。国としてはルール作りや制度設計を進めていく。携帯電話と連携した音楽ダウンロードサービスや交通情報サービスなど、ラジオが変わったと思われるようなセグメントを十分に活かしたサービスで音声の文化をさらに発展させてほしい」とコメントした。


関連情報

URL
  エフエム東京
  http://www.tfm.co.jp/
  総務省の報道資料
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050520_2.html
  関連記事:デジタルラジオの本放送開始が2006年に大幅前倒し[AV Watch]
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050520/dradio.htm


( 鷹木 創 )
2005/06/07 19:28

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