米Claria Corporationは13日、新サーチエンジン技術「Vista Marketing Services search platform」のアルファリリースを発表した。同社では、ページのリンク解析やテキストマッチングをはるかに超える新しいパーソナライズドサーチエンジン技術だとしている。
Clariaの以前の社名はGatorで、ブラウザなどと協調動作するフォーム記入ソフト、パスワード保存ソフトなどの開発で広く知られるようになった。しかし、このソフトが他のWebサイトの上に別の広告を表示するなどしたため社会的な問題となり、最近では広義のスパイウェアと認識されることもある。また、ClariaをMicrosoftが買収するという噂が流れていたことでも有名だ。
今回Clariaが発表した「RelevancyRank」技術は、サーチエンジンの検索結果クリック後のブラウジング行動をもとに、より的確な検査結果を返すことを目指している。たとえば検索結果をクリック後そのサイトでユーザーが過ごした時間、ブラウジングをしたページ数、サイトを再訪問した数、過去のブラウジング行動の履歴、購買行動に結びつく傾向、などといった数字である。
こうしたデータが必要となる理由についてClariaの社長兼CEOであるJeff McFadden氏は、「たとえば、中国にあるホテルを検索している大学生とエリートビジネスマンでは、まったく異なる検索結果を求めているはずだ」と説明している。
Clariaはこれまで、こうしたデータを複数のサーチエンジンの性能を比較するために利用していた技術を、今回独自に開発したサーチエンジンプラットフォームの基盤技術として応用したものだ。同社が技術開発初期段階において調査会社Harris Interactiveと調査した結果によれば、その検査結果はGoogleとYahooのものよりも満足度、的確性において85%以上の割合で同等かそれより良いと判定されたとしている。
このアルファリリースはパスワードで保護されたサイトで少数の人々によってテストされることになっており、公開ベータリリースは2005年第4四半期頃になる見通しだ。
パーソナライゼーションについて言えば、最近Googleはサーチエンジンの検索履歴をもとにパーソナライゼーションを行なう技術のベータテストを行なっており、米Yahoo!や米Microsoftも同様の試みを行なっている。
Clariaに関しては、最近Microsoftが同社に対して買収交渉を行なっているとの噂が流れている。Clariaが保有するマーケティングデータに価値があることがその理由とされているが、一方でClariaが保有するGatorソフトウェアにはスパイウェアとしての悪名があるため、多くのブロガーがこれを問題視している。スパイウェアという噂が流れていたその時期に、これまでClariaのソフトウェアをスパイウェアと認定していたMicrosoftのWindows Anti-Spyware BETAの設定がこの認定を見直したため、買収交渉の噂がますます真実味を帯びたとされている。
さらに、これまでP2Pファイル交換ソフト「Kazaa」と共に配布されていたClariaのソフトウェアが急に同梱されなくなったこともMicrosoftとの交渉の影響とされた。ただし、こうした見方についてKazaa開発元の豪Sharman Networksは、「買収前にClariaが身綺麗にするためではないか」との疑惑を完全否定するプレスリリースを発表している。
買収の噂についてMicrosoft側はコメントを避けているが、一方でこの買収交渉は失敗に終わったとの噂も流れている。こうした状況の下、Clariaがパーソナライゼーション技術を持つサーチエンジンを発表することがどのような意味を持つのか、現在のところ不明だ。
関連情報
■URL
米Clariaのニュースリリース(英文)
http://www.claria.com/companyinfo/press/releases/pr050713.html
米ClariaのRelevancyRank説明(英文)
http://www.claria.com/relevancyrank/about/
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/07/14 14:14
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