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総務省、通信サービスのユニバーサルサービス基金制度の答申案を公表


 総務省の情報通信審議会は25日、「基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)基金制度」のあり方についての答申案を公表した。審議会では、今回公開した答申案についてパブリックコメントを8月25日まで募集し、寄せられた意見を踏まえて答申を行なうとしている。

 ユニバーサルサービス基金制度は、基礎的な通信サービスである加入電話、公衆電話、緊急通報などのサービスについて、全国均一のサービスを維持していくために2002年6月に導入された制度。NTT東西はこうしたユニバーサルサービスの提供を法律で義務付けられており、各通信事業者が基金に拠出することでユニバーサルサービスの提供コストに充当しようというものだ。

 答申案では、基金による補填の対象は従来と同様に固定電話のみとすることが適当であるとし、移動電話やブロードバンドサービスについては現時点ではユニバーサルサービス基金の対象とすることは適当ではないとしている。ただし、移動電話については近い将来にユニバーサルサービスと位置付けられる可能性もあるとしており、ブロードバンドサービスについては国や自治体との連携も含めた普及策を注視すべきだとしている。

 補填の対象を固定電話のみとしているため、補填対象となる事業者についてはNTT東西のみを想定。補填の対象となる地域については、NTT東西のみがサービスを提供している地域を対象とすると定めている。これは、他事業者が参入している地域の場合には、NTT東西のみに補填を行なうことは不公平を生じるためとしているが、何をもって競争事業者が「参入」しているかと見なすかについては検討が必要だとしている。

 補填の対象となる具体的なサービスについては、加入者回線アクセス、公衆電話、緊急通報を挙げている。公衆電話の位置付けは移動電話の普及によって変化しているものの、戸外における最低限の通信手段を確保するという観点から、引き続きユニバーサルサービスとして基金による補填の対象とすべきだとしている。一方、これまでは対象とされてきた市内通話料金については、マイライン登録制度や接続料制度などによりNTT東西とそれ以外の事業者の間で同じ条件が適用されていることから、補填の対象からは外すことが適当だとしている。

 補填額の算定方式については、これまでは不採算地域の赤字と採算地域の黒字を相殺した上で、まかない切れない分を補填する「相殺型」を採用してきた。一方、答申案では、サービス提供コストが高額となる地域を「高コスト地域」に設定し、高コスト地域における全国平均費用を超える額を補填の対象とすることを検討している。

 基金の運用については、適用の対象となる事業者には高コスト地域における費用の内訳など、可能な限りの情報公開を求めている。また、基金制度については2005年度から2007年度までの3年間を適用期間とし、2008年度以降については必要な制度の見直しを行なうことが必要だとしている。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050725_3.html

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( 三柳英樹 )
2005/07/25 20:49

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