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スーツケースが1.7GHzのW-CDMA・無線LANデュアルモード端末。動作はパソコンのモニタで確認
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エリクソンとBBモバイルは、W-CDMAネットワークと無線LANでマルチメディアコンテンツのハンドオーバーを行なう実験デモを報道関係者向けに公開した。BBモバイルでは、今回の実験を具体化したサービスなどは決定していないとしているが、比較的近い将来に実現可能な技術として実証実験のデモが行なわれた格好だ。
今回の実証実験でイメージされているのは、音声通話のほか、テレビ電話のような動画のやりとりや動画のストリーミング配信サービスを、外ではW-CDMAネットワーク、家庭では無線LANにシームレスと最適な環境に切り換えて受けられるというもの。ユーザーは家庭でも外出先でも、どのネットワークに接続しているかを意識することなくサービスを受けられる。
実証実験は、IMSサービス(ビデオセッション)と回線交換の音声通話を同時に行ないながら、W-CDMAネットワークから無線LANエリアにシームレスにハンドオーバーするという内容。W-CDMAには1.7GHz帯の周波数が使用され、無線LANにはYahoo! BBの一般的な無線LAN対応ADSLモデムが使用された。
実証実験のデモは埼玉県内で行なわれた。1.7GHz帯のW-CDMA実験基地局から約300mほど離れた建物の室内が使用され、室内にはYahoo! BBの無線LAN対応ADSLモデムが設置されていた。1.7GHzのW-CDMAと無線LANに対応したデュアルモード端末は室外に持出すことはなかったが、パソコンのモニターに映し出されたデータを確認しながら、W-CDMAと無線LANを切り換え、ハンドオーバーの様子を再現してデモが行なわれた。
実証実験のポイントとなるのは、無線LANに移るとVoIPに変更される音声が、W-CDMAでは回線交換方式で接続されていること。実験の説明にあたった日本エリクソン エリクソン北東アジア CTO 工学博士の藤岡 雅宣氏は、「音声通話において、現状では回線交換方式が品質や利用効率の面で優れている」とし、「近い将来のコンビネーショナル・サービス(CSI)では、回線交換とパケットを組み合わせて有効活用する必要がある」と述べて、すべてIP化していくという目標よりも、より現実的な実験であることを示した。
現在の3GPP Release 6では、W-CDMAとWiFi(無線LAN)でIMSをハンドオーバーする規格は定められていないが、Release 8あたりで盛り込まれる可能性があるといい、今回の実証実験はこれらに先駆けたものとなっている。また音声については、Release 7で検討中のmake-before-breakという技術が使用された。これはハンドオーバーの際に回線交換と無線LANのVoIPを同時に接続し、一瞬両方で音声通話を確立した後に片方を切断するというもの。デモは実際に体験することができたが、ビデオセッションはやや遅延があるもののハンドオーバー自体はシームレスに実行されていた。音声についてもmake-before-breakはわずかな時間に行なわれるだけで、この最中も音声が乱れることなく、シームレスにハンドオーバーする様子が確認できた。
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音声、ビデオセッションともW-CDMAで接続している様子。違う部屋の端末と接続している。テレビ電話のようだが動画はパケット方式
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無線LANにハンドオーバーする瞬間。右のグラフは上段が総パケット転送量、中段が無線LANのパケット、下段がW-CDMAのパケット転送量を表わしている
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音声、動画とも無線LANにハンドオーバーが終わった状態
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無線LANからW-CDMAにハンドオーバーしている最中。音声はわずかに接続時間が要るが、途切れることはない
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デモの概要
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実験のイメージ図
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今回の実験と既存サービスの比較
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デモで使用されたインフラ
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デモの部屋から歩いて数分、ビルの屋上に設置された1.7GHz対応のW-CDMA実験基地局
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関連情報
■URL
BBモバイルのニュースリリース
http://www.softbank.co.jp/news/newsrelease/2005release/050726_0002.html
エリクソンのニュースリリース
http://www.ericsson.co.jp/press/2005/20050726.html
関連記事:BBモバイルとノーテル、HSDPAで14.4Mbpsの速度を実現[Broadband Watch]
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/9840.html
( 太田亮三 )
2005/07/27 11:41
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