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携帯電話向け機能を拡充、Podcastingに対応した「TypePad 1.6日本語版」


 シックス・アパートは5日、ブログサービス「TypePad」の最新版となる「TypePad 1.6日本語版」を9月12日より公開すると発表した。携帯電話からの閲覧・編集機能やPodcasting対応など機能が大幅に強化されている。


デザインインターフェイスを一新、スパム対策も強化

 TypePadは、ユーザーがサーバーを用意する必要がないASP型のブログサービス。最新バージョンの1.6ではインターフェイスが一新され、新たに「テーマ」「レイアウト」というデザイン設定項目が追加された。ブログのデザインをテーマで、表示構成などをレイアウトというように分けて設定可能で、9種類のレイアウトと数種類のテーマがあらかじめ用意されている。

 また、高機能プラン「Pro」ではカスタムCSS機能も新たに搭載。これまで用意されていた上級テンプレート機能ではHTMLとCSSを自由に編集できたものの、HTMLの編集を行なった場合、テーマのみ変更するといった簡単なカスタマイズが難しかったという。カスタムCSSでは特定の一部分のみ色合いや背景画像を変更するというカスタマイズが可能なため、「既存サイトとデザインを合わせるなど、容易な設定で独自のカラーを出していける」(TypePad プロダクトマネジャーの金子順氏)。

 ブログツール「Movable Type」で実装されていたコメント・トラックバックの管理機能もTypePadでサポート。コメントやトラックバックの承認機能や、公開・非公開の切り替え、スパム発信元IPアドレスの禁止リスト登録、スパムが登録された記事のコメント受け付け停止といった機能が搭載された。コメントの受け付け停止機能について金子氏は「一見すると地味な機能だが、スパムは検索エンジンで見つけた過去のエントリーに連続して送られることも多い。そういった場合も該当エントリーだけコメントを閉じることができる」とのメリットを補足した。

 なお、TypePadの提携事業者の一部では、スパム対策機能として事業者ごとの禁止IPリストを用意し、事業者側でスパムに対応するという取り組みも行なっているが、TypePadでは「あまり攻撃スパムを受けていないこともあり、現状ではその機能は搭載していない」(金子氏)という。シックス・アパートの関信浩代表取締役は「TypePadでは法人ユーザーも多く、スパム対策によってユーザーの意見をスパムとして削除してしまう危険性もある。スパム対策は企業ごとのポリシーにも関わる問題」とコメント。金子氏は「スパム対策のシステム自体は持っているため、スパムがひどくなった場合にはいつでも対応できる」とした。


デザインを「テーマ」「レイアウト」から設定可能 一部分のCSSのみ編集できる「カスタムCSS」

デザイン編集画面 スパム対策機能も強化

携帯電話からの閲覧・編集機能を日本で先行スタート

TypePad プロダクトマネジャーの金子順氏
 1.6からは、携帯電話での閲覧や編集に対応したモブログ機能にも対応する。ただし、この機能は日本で先行してリリースされるもので、当初はオープンベータ機能として提供される。

 対応する携帯電話はNTTドコモ、au、ボーダフォンで、エントリーの投稿や編集、コメント・トラックバックの管理といった機能を搭載。メールでの投稿にも対応し、NTTドコモの「デコメール」などHTML形式のメールでも投稿できるという。「デザインの変更など、携帯電話から確認できない細かい設定以外は、ほぼ携帯電話から利用できる」(金子氏)。

 携帯電話とPCでのデザイン共有機能も搭載。PCで設定したブログデザインが携帯電話での閲覧時にも自動で適用され、携帯電話用のHTMLやデザインをユーザーが指定する必要はない。携帯電話用のURLは当初のうちPCと同じものを利用するが、ユーザーの利用状況を見てオープンベータ中に変更する可能性もあるという。

 携帯での閲覧にはAtom APIを採用し、携帯電話から閲覧のリクエストが送られた時に携帯ごとのフォーマットに変換してデザインを表示する仕組み。TypePadがすでに持っているAPIとは別に、表示の部分をAtom APIで新たに構築、デバイスごとにさまざまなデザインを要求される場合でも柔軟な対応が可能とした。


ほとんどの機能が携帯電話から利用可能に 携帯電話とPCでデザインを共有

Podcastingにも対応、サイドバー機能も拡充

シックス・アパートの関信浩代表取締役
 米Six Apartで7月に行なわれた社内イベント「Scratchathon(スクラッチャソン)」で実装された機能も搭載。Scratchathonでは、これまでユーザーが要望していた細かな修正や実装していなかった機能・アイディアなどを、Six Apartのエンジニアが1日で実装するイベントで、今回の最新バージョンではScratchathonから4つの新機能が搭載された。

 Six Apart創業者のBen Trott氏が実装したのが、他のブログやサイトのRSS/Atomフィードをサイドバーに表示できる機能。また、国内のブログ検索「Bulkfeeds」などを手がけた宮川達彦氏は、Podcastingに対応した機能を実装した。MP3/AAC形式の音声ファイルをアップロード、TypPad上でPodcastingの配信フィードを表示できる。また、携帯電話から音声ファイルを投稿し、Podcastingで配信することも可能だという。

 これまでTypePadでは、サイドバーにフォトアルバムの画像を表示することが可能だったが、今回は新たに指定した画像のみを表示する機能が追加された。また、サイドバーでHTMLを利用する機能はこれまでHack的に利用できていたが、1.6では正式に「メモ」機能としてサイドバー表示が可能になった。このほかサイドバー用のモジュールも追加され、インスタントメッセンジャーのオンライン状態通知機能、Amazon.co.jpのウィッシュリスト表示機能が追加された。

 TypePadでのバージョンアップは9月12日を予定するが、ASPやライセンスパートナーのバージョンアップ時期は現在のところ未定。ただし、バージョンアップの話自体は進んでおり、@niftyの「ココログ」、OCNの「ブログ人」などのアップデートも予定されているという。

 関信浩代表取締役は、「これまではブログというと無料のものが流行していたが、最近ではビジネスの面でも注目されている。個人のオンライン日記の時代から、企業がマーケティングや顧客とのコミュニケーションツールとして、もしくは社員の意見を交換するイントラネットとして、幅広くブログが使われている」とコメント。「その中でもTypePadの機能強化を果たしていきたい」とした上で、「Movable Typeについても米国で3.2がリリースされており、日本語化も進めている。こちらも改めて説明の機会を設けたい」とした。


Scratchathonで追加された4つの機能 Podcastingにも対応

インスタントメッセンジャーのオンライン表示機能も追加 サイドバーのHTML表示が可能。Atom APIでの投稿にも対応

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.sixapart.jp/press_releases/2005/09/05-1420.html

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( 甲斐祐樹 )
2005/09/05 19:23

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