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EU、通信とメディアの融合について見解


 欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会はこのほど、ますます垣根が低くなりつつある通信とオーディオビジュアルメディアの融合の方向性について見解を示した。情報社会・メディア担当委員を務めるViviane Reding氏が10日、ロンドンで開かれた会議において発表した。

 その中で、通信市場とメディア市場はブロードバンドの普及やAV機器・電子デバイスの急速な発展により、新たな局面を迎えているとの認識が示された。この状況自体は1990年代から認識されており、欧州委員会でもことあるごとに取り沙汰されている。しかし、2005年に入って状況は一変しているという。そのため、欧州委員会としての開発支援、規制の方向などに新たな施策が必要との判断だ。

 特に、1)文化的側面からは、コンテンツ作成とメディアおよび消費者の関係が従来とは異なっていること、2)経済的側面からは、従来型の消費形態の創造的破壊が行なわれており、新たなプレイヤーが出現していること、3)ネットワークの観点からは、インターネットの出現により、伝統的なビジネスモデルの維持が困難になりつつあることが挙げられるという。

 そこで、まずは政策当局および規制当局の融合が必要であると指摘。向こう18カ月以内に行なわれるべきであり、今後は欧州の組織の改革とそのためのEU規則の改正が必要であるとしている。

 次に重要視すべきとされたのは、コンテンツ規制の統一だ。この点については、つい3週間前にも国境のないテレビに関する規制指令が議論されたばかりである。これにも関連して、コンテンツを規制する新たな枠組みを早期に設置すべきとしている。現在、指令レベルでの整備が進められているが、文化的側面とも強いつながりがあることもあり、国家間の調和は最低限にとどめる方針のようだ。

 また、インフラ規制の整備についても向こう18カ月の課題であるとの見解だ。EUは25カ国体制になり、今後も加盟国増加が予定されている。域内の総合的な発展には「eコミュニケーション」が不可欠であり、そのために必要な高速通信ネットワーク網の整備を2年間以内に実現するとしている。

 このほか、公共放送に対する考え方の転換が議論された。これについては、放送という概念が従来と変わることから、公共放送が果たす役割や行なうべき事項にも変化があるとしている。変化はあるものの、「透明性」と「独立機関による監督」の2点だけは、従来の公共放送と同様の規制を受けるべきとの考えを示している。


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URL
  ニュースリリース(英文)
  http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/05/590&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en


( Gana Hiyoshi )
2005/10/14 16:51

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