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「iPod課金は見送るべき」文化審議会の法制問題小委員会が報告書案


12月1日に開かれた法制問題小委員会の第10回会合
 文化庁の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会は1日、第10回会合を開催し、私的録音録画補償金制度の見直しなどについて検討した結果を報告書案にとりまとめた。

 法制問題小委員会はすでに11月11日の第9回会合において、iPodなどのデジタルオーディオプレーヤーを補償金制度の対象に政令指定する、いわゆる“iPod課金”について現時点では見送るべきとの結論を示した報告書案を作成していた。今回、
その時の議論を踏まえて最終的な報告書案がとりまとめられたわけだが、内容に大きな変更はない。iPod課金のほか、補償金制度そのものを2005年度以降に抜本的に見直すことや、HDDやCD-Rなど汎用機器・記録媒体の取り扱いについてもその中で検討していくことを求めている。


補償金制度の検討は「廃止」「骨組みの見直し」も視野に入れることを明記

 ただし、補償金制度の課題について示したパートで、前回の報告書案から文面にいくつかの変更があった。まず、前回は「私的録音・録画についての抜本的な見直し及び補償金制度に関してもその存否や他の措置の導入も視野に入れ、抜本的な検討を行なうべき」となっていた部分を、今回「私的録音・録画についての抜本的な見直し及び補償金制度に関してもその廃止や骨組みの見直し、更には他の措置の導入も視野に入れ、抜本的な検討を行なうべき」に改めた。

 これは、前回の会合において、検討の過程において補償金制度の縮小・廃止の是非も含めた議論がなされたことを踏まえた表現を入れるべきとの意見が委員から出されたことを受けたもの。「廃止」「骨組みの見直し」という表現に反映されている。

 また、前回の報告書案では、補償金制度の抜本的な見直しにあたっては、権利者やメーカーだけでなく、ユーザー側も参加する場を設けて検討することが適切だと述べていた。しかし、今回の最終的な報告書案では、この部分が丸ごと削除された。

 この部分については、前回の報告書案で「本委員会とは別の場を設けることが適切であり、そこでの検討を踏まえて法制面からの検討を本委員会において行なうべき」などと記述されていたために、そのような場を設けることを法制問題小委員会で決定して報告書に盛り込むことが見送られた模様だ。ただし、そのような検討の場を設けないというわけではなく、事務局の説明によれば、どのようなやり方で開催するかを今後、親委員会にあたる著作権分科会などとともに文化庁が詰めていくとしている。

 今回の会合は、上記のような変更点について事務局から説明がなされた後、報告書案の内容について特に異議もなく30分足らずで閉会となった。最後にあいさつにたった法制問題小委員会の中山信弘主査(東京大学教授)は、私的録音録画補償金制度について「シリアスな問題。どのような結論になろうとも、将来大きな宿題を残すことになる」と表現。今後も検討を重ねていかなければならない課題だとして、引き続き各委員に協力を求めた。

 法制問題小委員会は、2006年1月12日に開催される著作権分科会で報告書案を提出。同分科会で審議後、報告書が公表される予定だ。


関連情報

URL
  文化審議会
  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/

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( 永沢 茂 )
2005/12/01 17:38

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