トレンドマイクロは、2005年のウイルス感染被害年間レポートを発表した。1月1日から12月15日にかけて日本国内のデータを集計したもの。
国内のウイルス感染被害報告数は41,749件と、2004年同時期の63,657件から大きく減少した。2003年の45,238件と比べてもやや少なくなっている。個別のウイルスでは、「WORM_RBOT」が1,180件で最多。2位「JAVA_BYTEVER」1,046件、3位「TROJ_AGENT」915件、4位「WORM_SDBOT」827件と続く。5位以下は「TROJ_SMALL」「SPYW_GATOR」「WORM_NETSKY」「WORM_AGOBOT」「TROJ_ISTBAR」「VBS_REDLOF」となった。
2005年は、1種類のウイルスが世界的に大流行して目立つようなことはなく、ボットやスパイウェアによる不正プログラムによる被害に変化。さらにそうした被害も分散しているという。トレンドマイクロによると、ウイルス作者が、不特定多数に感染を広げて世間を騒がせたいという愉快犯から、標的をピンポイントで狙い、パスワードなどを不正に取得する金銭目的の犯行へシフトしたことが背景にある。今後も被害の分散傾向が進み、ウイルスに狙われた場合、金銭の詐取など直接的で甚大な被害になると予想した。
|
ウイルス感染被害報告件数月別グラフ
|
国内の目立ったトピックは、特定の企業や官庁を騙った日本語のウイルスメールや、「TSPY_BANCOS」など国内オンラインバンクのサイトを狙った不正プログラムなど、日本をターゲットにしたものが多数発見されたこと。また、日本語で巧妙に書かれたメールや偽サイトを悪用したフィッシング詐欺も多数の報告があったという。
愉快犯としての側面が強いが、P2Pファイル共有ソフト「Winny」を悪用して感染を広げる「ANTINNY」亜種も多く見つかり、依然としてANTINNY感染が原因の個人情報漏洩事件は後を絶たない。また、個人情報を盗むスパイウェアへの意識も高まった。ただし、スパイウェアは「白黒の判断がつけ難く、境界があいまい」なケースもあり、インターネット上のプログラムをダウンロードして実行する場合は、ユーザー自身の注意が必要だと呼びかけた。
このほか、年間ランキングでも上位のWORM_RBOT、WORM_SDBOT、WORM_AGOBOTなどのBOT系プログラムを警告。さらに、Windowsの脆弱性「MS05-039」が公開されて4日後に登場した「WORM_ZOTOB.A」に言及し、システムの脆弱性を突くウイルスの作成がスピードアップしていると注意を喚起した。
関連情報
■URL
2005年度ウイルス感染被害レポート
http://www.trendmicro.com/jp/security/report/report/archive/2005/mvr2005s.htm
■関連記事
・ 報告件数は少ないが攻撃は悪質化する傾向に~トレンドマイクロ上半期調査(2005/07/07)
( 鷹木 創 )
2005/12/21 20:31
- ページの先頭へ-
|