NTT(持ち株)は、1月18日に行なった社長会見の内容を公開した。和田紀夫社長は会見の席上、12月の光アクセスサービスの純増数が過去最高だった点やWiMAXなどについて言及した。
和田社長は、総務省の懇親会が中期経営戦略に対する議論している点に関して、「中期経営戦略を推進していくことがグループとしての最も大きなターゲットだ」とした上で、「このことについて政府にバックアップしていただけるような議論をしていただきた」とした。また、竹中平蔵総務大臣が情報通信省構想を打ち出している点については、「事業者としては法律の枠組みの中で事業を展開しており、事業活動が円滑に進むような形をお願いしたい」とコメント。ただし、「いろいろな意見もあると思うので、具体的には申し上げることはできない」と付け加えた。
和田社長は、「固定通信の分野では光アクセスサービスがかなり売れている」と述べ、2005年12月の純増数は17万5,000回線と過去最高の数値を達成したという。移動体通信ではFOMAへの移行が進み、ワンセグ放送やHSDPAなどの高速データ通信、番号ポータビリティへの取り組みで業界全体が活性化されているとして、「明るい1年になるのではないかと思っている」と述べた。
FMCへの取り組みに関しては、「FOMAとPC間での映像通信や構内での固定電話、外出時の携帯電話としての利用できるサービスなど、さまざまなことが進んでいる」と指摘。一方で、固定電話側や携帯電話側などさまざまなアプローチがあるため、「グループの1社が何かをやるという話ではないと思う」という考えを示した。
その一例として和田社長は、WiMAXを挙げて「非常に脚光を浴びているが、WiMAXについても固定側からでも、携帯側でもアプローチできる技術である」と位置付けているという。和田社長は「WiMAXに関してはNTTドコモに研究開発能力が蓄積されていることから、ドコモを代表としてグループ各社が参加する実証実験を取り組んでいきたい」と述べた。なお、免許取得に関しては「どこが取得するかを含め、グループ内で検討を含めていきたい」とした。
和田社長はまた、2005年11月下旬から12月下旬にかけてBTやAT&Tなどといった通信キャリアや欧米の主要機関投資家などを訪問したという。その際、「Skype」などのP2Pの通信手段が音声やテキストだけではなく映像を含めて発展しようとしている点に関して、「新しいネットワークの投資に対するリターンが非常に心配になる要因として、海外通信キャリアも同じ危機感を持っていることがわかった」と述べた。
通信と放送の融合について和田社長は、「基本的な考え方だが、いわゆる放送事業そのものを行なう考えはない」と説明。「オンデマンドなどの映像配信、顧客管理、料金回収プラットフォームの構築など周辺分野におけるビジネスモデルには積極的に対応したい」という考えを示した。
このほか会見の席上では、ライブドアが16日に証券取引法違反の疑いで強制捜査を受けたことに関する質問があった。これについて和田社長は、「我々もびっくりしている状況で、的確なコメントはできない」と発言。株価に関しては「ICTが持つ社会経済に対するインパクトや必要性、発展性に疑いの余地はなく、時間が経てば落ち着いてくるのではないか」と述べた。
関連情報
■URL
NTT社長会見
http://www.ntt.co.jp/kaiken/
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・ NTT社長会見「中期経営戦略はNTTグループ再々編ではないと認識」(2005/11/11)
( 村松健至 )
2006/01/19 21:40
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