総務省は26日、2005年8月から開催している「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」による中間とりまとめを公表した。インターネット上の掲示板などに掲載される違法・有害情報については、管理者による自主的な対応を求めたほか、プロバイダーによるフィルタリングサービスも有効だとしている。研究会では、2006年7月をめどに最終案をとりまとめる予定。
総務省では、インターネットの急速な普及が利用者に大きな利便性をもたらす一方で、違法・有害情報が大きな社会問題になっているという。児童ポルノ、麻薬販売などの違法な情報や、アダルト画像、暴力的画像、爆発物の製造・使用、自殺サイトなど有害な情報に対処するため、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」では2005年8月から5回の会合を重ねてきた。
中間とりまとめでは、違法・有害情報の送信に対して、インターネット上の掲示板やサーバーの管理者が「(送信)防止措置を行なうことは可能」だという。送信防止措置が債務不履行や不法行為、電子計算機損壊等業務妨害などの要件を満たす場合は、民事上もしくは刑事上の責任を問われる可能性もあるが、契約に基づく措置あるいは正当防衛や緊急避難に当たる措置であれば責任を問われない。
一方、プロバイダーによる対策は「当該サーバー内の情報に手を加えることは不可能であること」に加え、サーバーへのアクセスを停止した場合には、適法、違法を問わず影響を予測できないなど「極めて困難である」と指摘した。
こうした点を踏まえ、研究会では掲示板やサーバーの管理者が自主的な送信防止措置を取るための支援策を提案。違法かどうかを管理者が自主的に判断するには、警察などの法執行機関による違法性の判断を受け、管理者が送信防止措置を行なう仕組みなどが考えられるという。
ただし、違法ではない情報については「一般的な基準を示すことは困難」と説明。「(契約に基づく送信防止措置であれば)対象とする情報の内容、送信防止措置の範囲、手続きが合理的かつ相当である限りは責任は問われないと解されるが、個別具体的な事情により結論が異なり得る」「特定の情報が有害かどうかは受け手によって異なる」とし、「(利用者との契約関係などに)統一的な基準を設けて自主的な対応を促すことは慎重な検討が必要」との見解を示した。
その上で、インターネット上での情報流通を契機に違法行為が行なわれている現状から、電気通信関連の団体などが一定のガイドラインを示すことで、掲示板やサーバーの管理者が自主的に送信防止措置が取れるよう支援することが適当だとしている。
管理者側やプロバイダー側で送信防止措置を取ったとしても、ほかの掲示板などで違法・有害情報が掲載される恐れもある。そのため、掲示板やサーバー管理者による送信防止措置のほか、フィルタリングなど受信者側の対応も必要だ。研究会では、受信者側の対策はインターネット上で日々流通する違法・有害情報に迅速に対応できることなどから、積極的に推進していく必要があるとしている。
関連情報
■URL
報道資料
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060126_1.html
■関連記事
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( 鷹木 創 )
2006/01/26 18:22
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