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ヤフーが記者懇親会を開催。「Yahoo!のAPIは全サービスで積極的に公開」


 ヤフーは8日、記者懇親会を開催した。代表取締役社長兼CEOの井上雅博氏や取締役兼COOの喜多埜裕明氏らが出席した席上では、Yahoo! 360°のコンセプトや、Yahoo!のAPI公開に対する積極的な姿勢が示された。


Yahoo! 360°は「日記ではないソーシャルネットワーク性に魅力」

代表取締役社長兼CEOの井上雅博氏
 ヤフー社内からの招待制で2月28日からスタートしたSNS「Yahoo! 360°」は、サービス開始から1週間と経たない3月5日時点で登録者数が1万人を突破するなど、順調な伸びを示しているという。国内のSNSではmixiが300万人を突破して大きく伸びているが、井上氏は「SNSが日記公開サービスかといえば、それは重要な点ではないだろう」との考えを示した。

 「Yahoo! JAPANに必要なものはソーシャルネットワークという“SN”の部分」と続けた井上氏は、「Yahoo!ショッピングのレビューを読む時に、知らない人よりも知っている人のレビューのほうが信頼性は高いだろう」と例示。「ランキングの重み付けの部分もSNSの面白さの1つだろう。必ずしもクオリティが高いとは限らないテールコンテンツを振るい分ける役割も果たすのではないか」と語った。

 300万会員を突破したmixiが独走態勢にあるSNS市場において「ヤフーが出遅れた面があるのは否めないが、日記を書き続けられる人は人口の一割程度ではないか」と井上氏。一方でマーケティング部長の大蘿(たいら)淳司氏は、「むしろ日記ではないところに魅力があるのではないか」と考えているという。「一般にブログとSNSでは書かれる内容が違う。そうした情報コントロールに新たな価値があるのでは」。また、mixiの新サービス「mixiニュースを踏まえ「mixiもポータル化しようという動きなのではないか。ポータルからSNSに入るか、SNSがポータル化するかという経緯が違うだけで、最終形は同じものになるのかもしれない(大蘿氏)。


APIは「全サービスで公開する」方針。携帯電話のオープン化も目標

取締役兼COOの喜多埜裕明氏
 グループ企業であるソフトバンクがボーダフォン買収を検討しているという報道には「まだ決まった話ではないだろうが、あれだけ“携帯やるぞ”と言っている(ソフトバンク代表取締役社長の)孫さんであれば何かしらの形で実現するだろう」とコメント。「半分身内のようなソフトバンクが携帯電話事業に参入することで、今までの携帯電話事業とは違った付き合い方ができるかもしれない」との展望を示した。

 「今の携帯電話のインターネットはインターネットではない。ドコモの携帯電話ではauのコンテンツが見られないなど、むしろ昔のパソコン通信に近い」と携帯電話向けコンテンツの閉鎖性を指摘した井上氏は「ヤフーとソフトバンクがYahoo! BBで日本をブロードバンド大国にしたように、閉ざされた携帯電話のデータ通信の世界を、よりオープンなインターネットにしていきたい」と意欲を燃やす。「携帯でもテレビでもYahoo! JAPANのコンテンツを自由に使える」それがヤフーのやりたいことだという。

 米国ではすでにテレビや携帯電話からYahoo!コンテンツが利用できる「Yahoo! Go」が開始されているが、「そもそも日本のYahoo!モバイルはYahoo! Goに近いことがそこそこ実現できている」こともあり、「Yahoo!モバイルを伸ばしていくべきか、新しいサービスがいいのか検討している」段階という。喜多埜氏は「Yahoo! Go TVだけ導入する、といった部分的な導入の可能性もある」と説明。大蘿氏は「Yahoo! GoはAPIを使っていろいろなものと接続できるようにしようというコンセプトであり、それは業界全体の必然的な流れではないか」との考えを示した。

 Yahoo! JAPANでのAPI公開は「基本的には全サービスでAPIを出していく」方針ではあるが、「会社としてというよりも、開発者が自発的に公開していこうという、ベンチャーの活気のようなものがある」。一方で、「社外への公開以前に、社内のさまざまなサービスで連携ができていなかったという反省もある」と語った井上氏は、「社内サービス連携という意味でもAPI公開は積極的に取り組みたい」とした。

 Yahoo!のDBを利用するといったWebサービスについても「やってみたい」と意欲はあるものの、「セキュリティの問題もあり、実現は簡単ではない」という。「いろんなやり方を検討していて、それがWebサービス型になるかどうかはわからないが、利便性を増すような話は常に考えていきたい」。


米Yahoo!が買収したFlickrやdel.icio.usの日本展開は「検討中」

マーケティング部長の大蘿(たいら)淳司氏
 Flickr、del.icio.usなど、米Yahoo!が買収したソーシャルネットワーク的なサービスの日本展開については「検討はしているが、単純に日本語化すればいいという問題ではない」。喜多埜氏は「新サービスでもいきなり何億というPVが発生するYahoo! JAPAN上で耐えうるだけの信頼性やセキュリティも課題」と指摘。「Flickrは米Yahoo!のIDで使えるが、日本のIDは米国とは異なるもの。そういったIDの連携だけでなく、課金や広告システムも考えると課題は多い」と続けた。

 米国でYahoo!とMicrosoftがIMソフトの相互乗り入れに関して提携したという件に関しても、米国と日本ではIDのシステムが異なるために現在は相互乗り入れの対象外。井上氏は「セキュリティの面などを考えればIDが分離していたほうが安心。また、ワールドワイドな権利を持ったコンテンツというものも少ないために問題は少ない」とした上で、「米国から日本に繋ぎたいというニーズが少ないため後回しにはなっているが、Microsoftとつながるのであれば、同じことは日本と米国でもできるだろう」と述べた。

 創業から10年、代表取締役社長としてヤフーの舵を取ってきた井上氏。今後に関しては「頑張ろうという気持ちもあり、SNSのような新しいサービスを見ると“自分には無理かな”という気持ちもある」ものの、、「やらなければいけないこと、やりたいこともまだまだたくさんある。社長を変わった方がいいと言われるまでは続けたい」。喜多埜氏も「我々が気が付かないことなども若い人が意見を言えるような環境を目指している」と補足した。


関連情報

URL
  Yahoo! JAPAN
  http://www.yahoo.co.jp/
  関連記事:Yahoo! 360°担当者に聞くSNS参入の狙い[Broadband Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/special/13081.html

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( 甲斐祐樹 )
2006/03/08 21:35

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