米Googleは9日、ブラウザ上でワープロ文書を作成し、公開または共有できるサービス「Writely」を買収したと発表した。買収金額などの詳細は明らかになっていないが、Writely開発チームはGoogleに合流することになる。
現在WritelyのトップページにはGoogleに買収されたことに関するFAQへのリンクがあるほか、Google公式ブログにもWritely開発者の1人がコメントを寄せている。なお、この買収によってGoogleにサービスが移管されるまでの間、新規利用申し込みの受付が停止されている。
WritelyはInternet ExplorerやFirefoxなどのブラウザ上で、ワープロ文書を作成できる無料のサービスだ。Microsoft Wordで作成された文書ファイルを読み込んで自動的にHTMLに変換し、その場で編集作業を行なえる。完成した文書はRTFまたはPDF形式で書き出せる。作成した文書ファイルはWritelyに保存され、ベータテスト中の現在の保存容量は無制限となっている。
さらに作成している文書に共有したい人物のメールアドレスを入力しておけば、文書へのリンクが張られたメールが送信され、その人々だけと文書を共有できる。その人たちは文書の編集に参加することもできるし、リードオンリーモードとして共有することも可能だ。
また、WritelyはGoogleのブログサービス「Blogger」やMovableTypeAPIをサポートしているため、ブログエントリーの作成にWritelyを利用することもできる。Writelyの画面で「Blog」タブをクリックするだけで、ブログエントリーがどのように見えるかを画面通り確認することができ、そのまま投稿できる。
現時点では、WritelyはOperaやSafariに対応していない等の問題点が数多く指摘されている。これについても、Google公式ブログにコメントを寄せた開発者のJen Mazzon氏は「Writelyはまだベータテスト中で、完成からは程遠い」と説明している。しかしその一方で、2005年8月にWritelyが公開されて以来、口コミで評判が広がり、ベータテスト中でありながら有名サービスの1つとなっていたことは、Writelyの潜在的可能性の高さを物語る。
今回の買収によってWritelyサービスに直接的な変化が起こる予定は当面なく、広告が表示される予定もないという。
Googleはこれまで、Microsoftと直接競合するOSやオフィススイートなどの分野に進出するつもりはないという態度を示し続けてきた。Writelyの買収は直接的にMicrosoft Office製品と競合する無料サービスであり、今後GoogleとMicrosoftによる技術サービス革新競争が過熱すると考えられる。
関連情報
■URL
Google公式ブログの記事(英文)
http://googleblog.blogspot.com/2006/03/writely-so.html
Writely
http://www.writely.com/
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/03/10 12:17
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