米Googleは11日、書籍の全文をブラウザで閲覧する権利だけを出版社が販売できるサービスを近く提供するとの情報を、「Google Book Search」ベータ版の出版社向けページ上に掲載した。
Google Book Searchでは、出版社がGoogleに書籍インデックスの許可を与え、それに基づいてGoogleが書籍の全文検索を可能にしている。検索結果では書籍の該当部分だけを表示するにとどめ、米Amazon.comや米Barnesandnoble.comなどのインターネット書店で購入できるリンクを提供している。
今回、Googleが出版社向け情報ページ上で明らかにしたのは、「近くユーザーが出版社の書籍をより多くの方法で購入、アクセスできようになる」ということだ。掲載された情報によれば、この新サービスによって出版社は、書籍をブラウザを通してのみ閲覧できる「オンラインアクセス権」を販売できる。この権利はGoogleアカウント保有者のみが購入でき、支払いはクレジットカードで行なわれる。Googleが決済も担当し、代金を出版社側に支払う。基本的にページの印刷はできないが、出版社側があらかじめ設定をしておくことにより決められたパーセンテージのページ数を印刷することもできる。例えば「10%」に設定しておけば300ページの書籍の30ページだけを印刷できる。
このサービスに参加できるのは米国と英国の出版社で、かつGoogle Book Search Partner Program参加企業だけだ。また、オンラインアクセス権を設定する場合に、出版社が販売権を保有している地域を指定し、Googleに通知する必要があるという。
このような書籍販売はこれまでにない新しい方法となるが、価格設定についてGoogleは「いくつかの異なる価格で実験し、どれがうまくいくか試すことをお勧めします。オンラインアクセス権の販売はハードコピーよりもコストが低いことを念頭に置き、掲示価格の支払いに消極的な読者にもリーチするためディスカウントを試して下さい。これらのユーザーに対して異なる読書体験を持つ書籍コンテンツの購入方法を提供するわけですから、より多くのユーザーにリーチするために利用できる新しいタイプの書籍だと考えてみて下さい」とヘルプページで説明している。
書籍のオンラインアクセス権というアイディアを提示するのはGoogleが初めてではない。2005年11月に米Amazon.comは書籍の一部だけにアクセスする権利や、書籍購入者に対してその新版が発表されたときに最新データにアップデートできる権利を販売する計画があることを発表していた。同じく2005年11月には米経済紙のWall Street Journalが出版社から寄せられた情報を基に、Googleが「書籍のレンタルサービス」を開始するのではないかとの記事を掲載して話題を呼んだが、その後情報は途絶えていた。
このサービスが開始されれば、Googleはある種の「書籍」を販売するインターネット書店の一種になるため、Amazon.comなどとも競合することになる。今回、Google Book Searchのページに掲載された各種情報は、Googleがこのサービスを開始するために具体的に動き始めており、サービス開始が近いことをうかがわせている。
関連情報
■URL
「Google Book Search」出版社向け情報ページ(英文)
http://books.google.com/googlebooks/publisher.html
「オンラインアクセス権」販売についての説明(英文)
http://books.google.com/support/partner/bin/answer.py?answer=34596&hl=en_US
「Google Book Search」ヘルプページ(英文)
https://books.google.com/support/partner/
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/03/13 14:41
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