日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は3日、インターネットで現在利用しているIPアドレス(IPv4アドレス)が近い将来において足りなくなる問題について、専門家による検討をまとめた報告書「IPv4アドレス枯渇に向けた提言」を発表した。
現在インターネットで利用しているIPv4アドレスは、IPアドレスを32bitの数値で表わしているため、IPアドレスは最大でも約43億個となる。しかし、インターネットの急速な普及に伴って、近い将来にアドレスが足りなくなる可能性が各方面から指摘されており、IPアドレスを128bitに拡張したIPv6アドレスの導入も進められているが、現時点ではIPv6は広く一般には普及していない。
報告書では、2005年に発表されたIPv4アドレスの枯渇に関する4つのレポートを紹介。枯渇という言葉の定義や考え方の違いによって、IPv4アドレスの枯渇時期については2009年から2028年までとばらつきがあるものの、IPv4アドレスが近い将来に枯渇するという点では予測は一致している。こうしたレポートを受けて、報告書ではIPv4アドレス枯渇に備え、各方面への提言を行なっている。
IPアドレスの割り当てに関わるICANNやその下部組織などのレジストリに対しては、全世界的に一貫性のあるポリシーを共有すべきであると提言。また、レジストリはIPv4アドレス枯渇の阻止や延命を目的としたポリシー変更を行なうべきではないが、IPv4アドレス割り当ての公平性を保つ目的であれば、ポリシーを変更してもよいとした。また、インターネットの運用に最低限必要なインフラのためのIPv4アドレスは確保しておくべきであるとしている。
ISPに対しては、必要以上のIPv4アドレス申請をしないよう心がけるべきと提言。また、IPv4アドレスの枯渇に向けた準備として、IPv6による接続性を提供できるよう準備を始めるとともに、一般ユーザーがIPv4アドレス枯渇を意識しなくて済むよう、事前に万全の対策を取るべきであるとしている。
インターネットサービスの提供者や企業ユーザーに対しては、新たな設備調達にあたってIPv6対応機器を選択するべきであると提言。また、サービス提供者は、ISPのIPv6対応が進み、ビジネスに支障がなくなった時点で速やかにIPv6でのサービス提供を行なうべきであるとしている。
一方、一般ユーザーについては、IPv4アドレス枯渇にあたって意識すべきことはなく、IPv4アドレス枯渇の事実さえも意識しなくてよいとして、ISPやサービス提供者、機器ベンダーなどが一般ユーザーに対してIPv4アドレス枯渇問題を意識させないよう努力すべきであると提言している。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2006/20060403-01.html
( 三柳英樹 )
2006/04/03 15:52
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