欧州連合(EU)は携帯電話サービスや高速インターネットサービスに関して、現時点では「ユニバーサルサービス」は必要ないと判断していることが、欧州委員会がこのほど公表した報告書で明らかになった。
欧州委の報告書は欧州議会に提出される予定のもので、EUの公式見解とも言える。現在は通常の固定電話など最低限の通信サービスは保障されているものの、携帯電話や高速インターネットについては、万人に普及させるコストの方が、ユーザーが享受する利益を遙かに超えてしまう現状では、ユニバーサルサービスを導入する意義に乏しいという結論に達した模様だ。
欧州委の情報社会メディア担当委員であるViviane Reding氏によれば、この報告書の内容は、携帯電話や高速インターネットをユーザーにいかに提供するかは現時点では市場が判断することであり、その例外として離島などの地理的問題がある場合に公的資本が投下される必要があるという。ただし、ユニバーサルサービスの理念自体に対する合意はなされており、インターネット時代を迎えてその概念を変えていく必要があるという点では、通信会社の意見も概ね一致しているのではないかとコメントしている。
EUでは、種々の指令によって加盟国が遵守することが要求される規定がある。ただし、ブロードバンドに関する指令(IP/06/340)や他のユニバーサルサービス指令などが複雑に関与しており、スムーズな実行は容易ではない。緊急時のアクセスや国際ローミングサービスなど他にも解決すべき問題も指摘されている。携帯電話と高速インターネットという今後の通信手段の主役の扱いについて活発な議論が交わされそうだ。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/06/488...
( Gana Hiyoshi )
2006/04/17 17:58
- ページの先頭へ-
|