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PWLLの構成
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日本通信は、銀行や証券会社、オンラインショッピング企業向けの専用線サービス「PWLL(Personal Wireless Leased Line、プエル)」を発表した。同サービスを採用した企業は、エンドユーザー向けに専用線サービスを提供可能になる。
今回発表された「PWLL」は、同社が「パーソナル専用線」と呼ぶ専用線サービス。従来は銀行のATMや証券取引端末、企業間などで利用されている専用線サービスを、専用のデータ通信カードやPC向けソフトにより、無線で実現するというもの。インターネットを介さない接続を実現することでセキュアな環境を提供できるとしている。
エンドユーザー向けの具体的なサービスは、PWLLを採用する企業から提供されることになる。基本的にノートPCでの利用を想定しており、電話番号が付与された専用のデータ通信カード、PC向けソフトが提供され、PWLL利用時に起動できるアプリケーションはサービス提供企業が用意したものだけになる。データ通信カードはPHSのほか、3Gサービスへの対応も予定されている。
例えば、ある銀行がPWLLを採用したエンドユーザー向けのオンラインバンキングサービスを提供する場合、銀行からPWLLを利用するためのデータ通信カード、PC向けソフトおよびオンラインバンキングソフトウェアがエンドユーザーに提供される。PWLLでオンラインバンキングを利用している間は専用線以外の通信が行なえないほか、ほかのアプリの起動も制限され、オンラインバンキング専用のPCといった状態になる。PWLLを利用するためのソフトを終了すれば、PCは通常通りの利用が可能。専用のデータ通信カードはPWLLを採用するサービスごとに用意される。
PWLLの1エンドユーザーあたりのコストは、データ通信カードの提供数などにより異なるものの、従来は月額数万円で提供されている専用線に比べて50~100分の1の価格に抑えることが可能という。
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日本通信の三田聖二代表取締役社長
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24日には都内で記者向けに発表会が開催され、日本通信の三田聖二代表取締役社長から説明が行なわれた。三田社長は「インターネットを利用した金融・商取引サービスにおいてセキュリティ問題が増大している」と指摘、「セキュリティの維持には、コストを抑えながらも抜本的な対策が必要」と述べた。また、「金融取引では常識として専用線を使用する。しかしインターネットの商取引ではセキュリティ面に目をつぶりながらインターネットを使用しているのが現状。他社がサービスを始めればやらざるを得ないという面もある」と述べて、インターネットを介したサービスでは万全のセキュリティ対策は実現されていないとした。
一方、同社の新サービスであるPWLLについては、「従来の専用線はコンシューマのユーザー数に対応できる価格ではない。PWLLは日本通信として新サービスだが、これまでの専用線と同じサービス。コストダウンを実現しコンシューマに対応できるサービスとして提供できるようになった」と説明。コストダウンを実現した主な要因については、「専用線のような工事がなく、無線は使うときだけコストが発生する。PWLLでは利用アプリを限定することでパケット量も想定できる範囲になり、帯域の使用効率も上げることが可能」とした。
三田社長は「世界で一番安心できるサービス」と専用線サービスのPWLLをアピールしたほか、PWLLを展開する主なターゲットとして、金融取引分野、ショッピングなどに加え、教育、行政、医療分野も視野に入れていく方針を明らかにした。また、具体的な採用企業はまだ決まっていないとしながらも、銀行、インターネット証券会社と話を進めている最中であることも明らかにしている。
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金融取引、ショッピング以外にもPWLLを展開
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3Gと拡大する商取引にPWLLは有効な手段になるとする
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関連情報
■URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.j-com.co.jp/ir/pdf/press_060424.pdf
( 太田亮三 )
2006/04/24 20:52
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